こけし日記

読むことと書くことについて

仕事に失恋した(『クリエイティブであれ』感想)

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卑屈の芽はどこから出てくるのか

私の今年の目標は好きなものから食べると卑屈にならないだ。好きなものから食べるというのは、私の夫は好きなものから食べるタイプで、やりたいことからやっていって、やらないことは全然やらないというタイプで、屈託がない。一方の私は自分が嫌なことでも…

アンラーン

この間『鎌倉殿の13人』を見ていたら、鎌倉幕府の行政機構って、政所と侍所とあとなんやっけ?ってなってすごいショックだった。あんなに受験勉強したのに!一応地歴の高校免許もとったのに!(答えは問注所)日本語教師の研修で、一度身につけた知識がもつ…

2022年4月の読書記録

『母親になって後悔してる』オルナ・ドーナト (著)、鹿田昌美訳女性が身体とか自然の方に割り当てられてあたかも子どもを産むのが当然みたいになってるのに意義申し立てをしている文章を今まで読んだことがなかったので、すごくよかった。あと、新自由主義社…

2022年1月の読書記録

全部じゃないけど、今年から読んでよかったものはなるべく感想あげていくことにした。制作日誌をつけているこけし日報に載せたものもある。アリ・スミス『冬』 ここ2年くらい、自分の状況がしんどくて、他人への想像力を持つ余裕がなかったけど、やっぱこう…

2021年の7冊

今年はあんまり新刊本を読めなかった。古い本も多いけど、今年読んで面白かった本(一部雑誌収録)のメモをはっておきます。※ブログで感想書いたのはのけました。・『ヒロインズ』ケイト・ザンブレノ(西山敦子訳) 3月くらいに読んだ。何書いたらいいかわか…

「書く仕事」がしたい? 『書く仕事がしたい』佐藤友美

読んで気づいたショック書く仕事がしたい">『書く仕事がしたい』には、いかに「書く」ことを「仕事」にし、続けていくかのエッセンスがぎゅっと詰まっている。 正直言うと私はこの本を読んで、自分はライターの仕事はできるけど、それが本当にしたいことでは…

ドヂな存在とは? 『みんな政治でバカになる』綿野恵太

『みんな政治でバカになる』を読んだ。 タイトルだけ見てみると、政治に興味関心持つやつなんてバカばっかりとシニカルな態度で批判するような本に見えるが、その逆である。むしろ、政治活動したり支持政党があるほど政治的主張がはっきりしてるわけでもない…

【お知らせ】企画や編集についてのご相談を有料化します

これまで書籍編集者として、出版社からお仕事をいただき、商業出版物の企画・編集業務をしてきましたが現在そちらは休業中です。自費出版物や自治体・企業様のパンフレット、広報物については引き続き受注していくつもりです。また、これまで無料でお手伝い…

書いてる限り作家でライター『三行で撃つ』近藤康太郎

読んだ理由去年仕事がずっと辛かった。わたしは10年ほどフリーでライターと編集者をしている。2018年に著書を出したあと、もっと自分の名前と作家性を出したような文章を書きたいと思うようになってきた。しかし、去年は引き受けていた編集の仕事の負担が大…

2020年の10冊

昔の本や若いころ読んだことのある本をもう一回読むことが多い1年だった。去年は若いころ理解できなかった文章がわかるようになったり、若い頃よくわかんなかった文章が読めるようになっていたのがうれしかった。・松下竜一『暗闇の思想を』 1973年、大分の…

成熟とは何か 『ゲンロン戦記』東浩紀

東浩紀さんの『ゲンロン戦記』を読みました。 この本は、批評家で作家の東浩紀さんが2010年に立ち上げた「株式会社ゲンロン」についての歩みを振り返った本です。ノンフィクションライターの石戸論さんの聞き書きによるもので、日常の言葉遣いで書かれており…

名前のない関係 『スーベニア』しまおまほ

しまおまほさん『スーベニア』を読みました。 しまおまほさんというと、祖父母は島尾敏雄と島尾ミホ、両親は写真家の潮田登久子と島尾伸三というクリエイター一家。高校生の頃『女子高生ゴリ子』や『しまおまほのひとりオリーブ調査隊』とか大好きでした!だ…

普通を壊すための思考と実践の軌跡 『愛と家族を探して』佐々木ののか

佐々木ののかさんの『愛と家族を探して』を読みました。 この本は、佐々木さん自分の家族についてや恋愛についての体験を語りながら、それと呼応するように、さまざまな家族にインタビューを重ねるというもの。ノンフィクションとか、あるテーマにそって客観…

メールのやり取りをのぞかせてもらってるような 青山ゆみこ、牟田都子、村井理子『あんぱんジャムパンクリームパン』

青山ゆみこさん、牟田都子さん、村井理子さんの『あんぱんジャムパンクリームパン』を読みました。ライターの青山さん、校正者の牟田さん、翻訳者の村井さんによる往復?3人だから交換かな?の書簡集です。 緊急事態宣言中に亜紀書房のサイトで連載されてい…

一言で面白いと済ませるにはもったいないお話が20篇も収録 藤野可織『来世の記憶』

藤野可織さんの『来世の記憶』を読みました。 この本には20篇の短編が収められています。どれから読もうか迷ってしまうので、パラパラめくってタイトルが面白そうなものから少しずつ読んでみました。どれもそれほど長くないので、電車の中や夜寝る前に読むの…

わたしの服いいでしょ!と言いたくなる はらだ有彩『百女百様』

はらだ有彩さんの『百女百様』を読みました。はらださんはイラストも文章も書くテキストレーター! これは服についての本、といってもファッションブックではありません。特徴はなんといっても常にジャッジに晒されがちな女性の服装に対して、はらださんがま…

疲れた心にじんわり染みる 餅井アンナ『へんしん不要』

餅井アンナさんの『へんしん不要』を読みました。「へんしん」は「変身」じゃなくて、「返信」の方。お返事不要のお手紙ということですが、誰に宛てて書いたものでしょう。 本はタバブックスのウェブサイトで連載されているものを書籍化したもので、 餅井さ…

歌謡曲って面白そう! 町あかり『町あかりの昭和歌謡曲ガイド』

町あかりさんの『昭和歌謡曲ガイド』を読みました。 町あかりさんは1991年生まれだけど歌謡曲にハマって、現在はシンガーソングライターとして活動しておられるそう。この本はそんな町あかりさんの歌謡曲愛をガイドさん風に「ドヤ顔!」「エモい歌詞!」とい…

女4人暮らしの家事にシビれる!あこがれるゥ! 藤谷千明『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』

藤谷千明さんの『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』を読みました。 さまざまな分野のオタクの女性4人が、生活費を削減しつつ快適な暮らしを実現するために、一緒に一軒家に住むという本。あんまり女性がハマるオタクカルチャーとか女性のオタクのコミュ…

「ひとり」の価値を思い出させてくれる一冊 アサノタカオ『読むことの風』

アサノタカオさんの『読むことの風』を読みました。 www.saudadebooks.com 本には2000年代始めからアサノさんが住んだり旅をしたブラジル 、アフリカ、日本各地といったさまざまな土地で書かれたたくさんの言葉が収められている。 アサノさんは編集者をしな…

『デジタルミニマリスト』実践練習04

はじめにたまたま読んだ『デジタル・ミニマリスト』という本が面白かった。「デジタル・ミニマリスト」というのは、本当にやりたいことに集中するために、オンラインで過ごす時間を減らした人たちのことだ。この記事は、実践にあたり、自分の記録を通じて、…

『デジタル・ミニマリスト』実践練習02

はじめにたまたま読んだ『デジタル・ミニマリスト』という本が面白かった。「デジタル・ミニマリスト」というのは、本当にやりたいことに集中するために、オンラインで過ごす時間を減らした人たちのことだ。 この記事は、実践にあたり、自分の記録を通じて、…

『デジタル・ミニマリスト』実践練習

noteの2019年11月20日の記事から移行しました。 たまたま読んだ『デジタル・ミニマリスト』という本が面白かった。「デジタル・ミニマリスト」というのは、本当にやりたいことに集中するために、オンラインで過ごす時間を減らした人たちのことだ。この本を読…

『よい移民』書評掲載

ぼちぼちですが、『よい移民』の書評が出始めてうれしいです。『よい移民』がどんな本かについてはこちら。 kokeshiwabuki.hatenablog.com 9月14日『日経新聞』掲載 9月22日『信濃毎日新聞』掲載評者はノンフィクションライターの川内有緒さん。 ※こち…

『彼岸の図書館』に対談が掲載されます

奈良の東吉野村でルチャリブロという私設図書館をやっている青木真兵さんと青木海青子さんというご夫婦がいます。青木さんは毎週水曜日にインターネットでオムライスラヂオというポッドキャストを配信したり、奈良の本屋とほんやルチャリブロでゲストを呼ん…

民俗学者・畑中章宏さんが『天気の子』を読み解く記事を書きました

いつも書いている『朝日新聞』読書サイト「好書好日」で、民俗学者・畑中章宏さん(@akirevolution)が『天気の子』を読み解く記事を書きました。 帆高はどうして海から来たの?新海誠監督の故郷・長野に伝わるある神話がインスピレーションの元では?そして…

企画・編集した本 『よい移民』ニケシュ・シュクラ編・栢木清吾訳(創元社)

7月末に創元社から『よい移民』という本が出ました。 イギリスの移民の子どもたちである、黒人やアジア系、東アジア系のクリエイター21人による、自分たちの体験を綴ったエッセイ集です。翻訳者は神戸大の栢木清吾さん。装丁は加藤賢一さんです。 2016年に…

写真家の平野愛さんと、Calo Bookshop & Cafeに行きました

いつも書いている『朝日新聞』の読書サイト「好書好日」で、平野愛さんと大阪の肥後橋にあるCalo Bookshop & Cafeに行きました。この機会にプロフィール写真も撮っていただきました。book.asahi.com平野さんは、いろんな人と本屋さんに行く「私を本屋に連れ…

『ヤンキーと地元』打越正行✖️岸政彦@ロフトプラスウエスト(2019年5月3日)

昨日はロフトプラスワンウエストでやっていた『ヤンキーと地元』の講演会に行った。著者の打越さんと社会学者の岸政彦さんが来て対談していた。 普通はどうしてこんな本を書いたんですかとかおもしろいエピソードはみたいな話になるけど、岸さんがガチガチに…