こけし日記

読むことと書くことについて

やってみたいことリスト100

前からやってみたかった「一生のうちにやってみたいことリスト100」を作ってみた。
ほとんど〜に行きたい、見たいになってしまったけど、それでもいいかと思った。
今年は何個実現できるだろうか。

  1. 三仏寺投入堂に行く
  2. さざえ堂に行く
  3. 自分で自分の服を作る
  4. 自分で自分のセーターを編む
  5. 平家物語を読む
  6. 原爆の絵を生で見る
  7. 太平記を読む
  8. 吉野に行く
  9. 日野に行く
  10. 五稜郭を見る
  11. 流氷を見る
  12. Kinki Kid'sのコンサートに行く
  13. 小栗旬の舞台に行く
  14. 歌舞伎を見る
  15. 東北の行ったことがない県に行く
  16. 小笠原諸島に行く
  17. 中国語を習う
  18. ベトナムに行く
  19. 台湾に行く
  20. 中国に行く
  21. 船で韓国に行く、チェジュ島に行く
  22. 満洲国の地域に行く
  23. 筑豊に行く
  24. 水俣に行く
  25. 西芳寺に行く
  26. 隠岐島に行く
  27. 佐渡島に行く
  28. 富士山に行く
  29. 船で別府に行く
  30. 恐山に行く
  31. 香港に行く
  32. 罪と罰を読む
  33. 風とともに去りぬを読む、映画や舞台を見る
  34. まだ見てない今村昌平の映画をコンプリートする
  35. 仁義なき闘いのまだ見てないシリーズをコンプリートする
  36. お母さんに南十字星を見せる
  37. おじいちゃんの若い頃の写真をデジタル化する
  38. 実家に置いてある本を全部整理する
  39. おじいちゃんの軍隊時代の足跡をたどる
  40. 霞ヶ浦に行く
  41. 能登半島に行く
  42. 知床半島に行く
  43. もう一度イヌイットの絵を生で見たい
  44. 自分のお店を開く
  45. ざらしのいる動物園を制覇
  46. アメリカ南部に行く
  47. ニューヨークに行く
  48. 2022年に劇場で見れなかった映画を見る
  49. 文フリで全都市制覇
  50. 長谷寺に行く
  51. もう一度串本と新宮にいく、那智の滝を見る
  52. 熊野古道を歩く
  53. 新宮と五條を結ぶバスに乗る
  54. 和歌山の本屋めぐり
  55. 横浜の海外移住資料館に行く
  56. ブラジルに行く
  57. 青年海外協力隊に行く
  58. 海外で日本語を教える
  59. カリキュラムを1から作る
  60. 子供に日本語を教えたい
  61. 日本語ボランティアをしたい
  62. 木曜島の夜会をよみたい
  63. よい移民の日本版を作ってみたい
  64. 1日じっくり京都めぐりをしたい
  65. 移転する前にカライモブックスに行きたい
  66. 砂風呂に入りたい
  67. 知覧に行きたい
  68. 加計呂麻島に行きたい
  69. アンクルトムの小屋をよみたい
  70. 若草物語を全部よみたい
  71. Pachinkoを洋書と翻訳で読んでドラマを見たい
  72. 前に買って読めなかった洋書を読めるようになりたい
  73. 積読している本を全部よみたい
  74. 新しいパソコンを買いたい
  75. ラップやってみたい
  76. 演劇をいろいろ見たい
  77. 美味しいパン屋に行きたい
  78. 東京の本屋めぐりをしたい
  79. 奈良町めぐりをしたい
  80. 運転したい
  81. 動物を飼ってみたい
  82. 買わなくていいくらい野菜を育ててみたい
  83. アボカド を育てたい
  84. ヒヤシンスを育てたい
  85. 魚を捌けるようになりたい
  86. ガンダムを全シリーズ見たい
  87. 柴田聡子のライブに行きたい
  88. サハリンに行きたい
  89. 漢詩を朗々と吟じてみたい
  90. シベリア鉄道に乗りたい
  91. 大島渚の映画を全部見たい
  92. もう一回ハワイに行きたい
  93. 陶芸をやってみたい
  94. 余呉湖に行きたい
  95. 滋賀の高島に行きたい
  96. 足摺岬室戸岬に行きたい
  97. 金色夜叉をよみたい
  98. 五島列島に行きたい
  99. 自分の本を英語に訳してみたい
  100. 英語で詩を書いてみたい

2022年の8冊

毎年恒例の今年の○冊。(順不同)
本当は毎月読書記録をつけたかったけど、忙しくて4月でストップしてしまった。あとでまとめ直すかも。今年はあんまり新刊とか人文書を読まなかった。

※書評で取り上げた本、自主制作流通系の本は除きます。

『おっぱいとトラクター』マリーナ・レヴィツカ  著・ 青木 純子 訳


藤原辰史『トラクターの世界史』に出てきて読んだ。イギリスのウクライナ移民の話。
80歳を超えた父親がビザ目当ての30代女性と再婚するという騒動が持ち上がってという話。両親のルーツとウクライナの歴史が重ね合わされ、そこにイギリスの移民問題、移民2世の問題などもからむ。とはいえ、すごくユーモアもあって、難民・移民を決してかわいそうな人たちとは描かない。まさに「人間」を描いている素晴らしい小説だった。

釜ヶ崎と福音』本田哲郎

釜ヶ崎で活動する神父・本田哲郎氏の本。小さく貧しくされた者の声をいかに聞けるか、そういう人たちと同じになって共感するんじゃなくて、そこから学ぶんだ、その人たちが立ち上がれるように、その人たちの声を聞いて実現するよう活動するんだ、というようなことが書いてあった。教育においてもそういう面があると思う。

『限界から始まる』鈴木涼美上野千鶴子

鈴木涼美さん苦手だったけど、これを読んでからなんか目が変わって文章を読むようになった。小説もおもしろくて今スピンで連載中のも読んでる。小説家の藤野可織さんとの対談もおもしろかった。去年は千葉雅也の魅力を知ったが、今年は鈴木涼美の魅力を知った一年だった。

cotogotobooks.stores.jp


『階級を選びなおす』茅辺かのう


茅辺かのうは戦後初の京大に入った女子学生の一人で、2回生くらいのときにやめて上京して労働運動とかにたずさわっていたらしい。そのあと編集者をやっていたが、急に60年代に全部すてて北海道に単身移住して、農業や漁業や阿寒湖の土産物店などで働いて、アイヌの人たちと交流したりして、また京都に戻ってきて、そして亡くなったそうだ。その北海道暮らしを描いたもの。
文章のギリギリ感が岡映里や植本一子を思わせる。
編集グループSUREの評伝もおもしろかった。
そこで『アイヌの世界に生きる』はがらっと文体が変わったという話が出てきて、自分はそういうギリギリの文体で書きたいと思ってきたが、それでは読む人に負担かもというようなことを思ったり、いろいろ考えた。
月曜社から復刊予定らしいので楽しみだ。
思想の科学のメンバーと交流があったそうで、来年は思想の科学関連の本をいろいろよみたい。

www.groupsure.net


『いつかたこぶねになる日』小津夜景

ずっと積読状態で今年やっと読めた。結構今まで読んだことないものを読んだっていう新鮮な文章だった。フランスとか漢詩っていう対象もそうだし、なんか話が思いもよらないところに進む感じもそうだし、文体も新鮮でよかった。
自分の文章の文体について、私の文はこういう遊びがないと思って、すごく考えさせられた。これを読んでからデスマス調で書いてみようと思って、文体を変えた。

『整体対話読本 お金の話』川崎智子・鶴崎いづみ・江頭尚子ほか

オフショアの山本さんに勧められた本。今年読んだ中で、茅辺かのうの本とおなじくらいインパクトがあった。
正直以前読んだ野口整体の本は何を言っているか理解できなくてさっぱりだったので、全然あたまの使い方が違うんだと思う。初読ではなかなか理解できず、なんどかメモをとりながら読み返している。お金の使い方、どうやってそれを得るか、そのために何の仕事をするかなどなど、生き方を考え直すのに役立った本だった。

『まじめな会社員』冬野梅子


私にとってはセルフカウンセリング漫画だった。
商業出版の編集の仕事をやめて、作家活動と夜学舎の方に振り切るのに、あみ子いなくてはできなかった。2021年から22年自分の辛かった時期に自分を振り返るのに伴走してくれた漫画だった。
2023年、あみ子と冬野梅子先生に幸あれ!!

 『どこにも属さないわたし』イケムラレイコ


三重のひびうたのイベントで買った。
ドイツでアーティストとして活動するイケムラレイコの自伝。
女性で、異邦人という2重のマイノリティ性をもちながら、個としてどう生きるかを模索した本。

嫉妬、不安で苦しい時に読んだので、この文章がずしんときた。

私はどの美術界にも直接的には所属していない代わりに、さまざまなグループにつながりがある。グループにどっぷり属していないということは想像以上につらいこともあるし、マイナーとして扱われると傷つくこともある。それが自由の代償でもあるのだと自覚している。それと引き換えに、世界と直接関わっていく可能性が広がる。
私は意識的に難解な場所に自分の身を置いているのかもしれない。今の状況を嘆くことはない。ほかの人たちがやらなかったことにチャレンジしているのだと自分に言い聞かせている。属さないというのは、異端者ではない、アウトローではない。
個からはじまることで、個に触れ合える。そうやって、初めて本当の意味でつながることができるのではないか。(122−123ページ)

来年はどんな本が読めるのだろうか。楽しみだ。

 

 

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アンラーン

この間『鎌倉殿の13人』を見ていたら、
鎌倉幕府の行政機構って、政所と侍所とあとなんやっけ?
ってなってすごいショックだった。
あんなに受験勉強したのに!
一応地歴の高校免許もとったのに!
(答えは問注所

日本語教師の研修で、一度身につけた知識がもつ期限は4年(5年だったかも)だから常に学び続けないといけないって言われたのを思い出した。
日本史なんてよく考えたら20代後半までやってた問題集の仕事して以来ほとんど触ってない。
じゃあ忘れて当然だ。

アンラーンって言葉がある。
学び壊すとか学び捨てるという訳語が多い。
インドの哲学者のスピヴァクが言った言葉らしいが、一度学んだことを捨てて、もう一度新しい知識を身につけ直すみたいな意味らしい。
最近はビジネス書とかでも使われるようになってきてて、こういう本も出てるみたい。



読んでみて、自分は今アンラーンの時期なのかなと思った。
社会学とか、人文書とか出版とか、なんか20代の貯金と積み重ねでやってきたけど、なんかそれが自分の現実と合わなくなっちゃってすごい違和感があるのかなと思った。
だから、今、自分がその世界に対してなんか冷めた目で見ちゃうのも、
自分は変わっちゃったのに、思考の癖とかやり方は残ってて、それが今の自分と合わなくてすごく違和感を感じるんだと思う。

つまんなくなったって思うこと悪いことだと思ってたけど、それは自分が変わったってことなのかもしれない。
そういう変化についていけてなかったり、変わった自分を受け入れたくなかった。
そのせいで、ちょっとここ何年かしんどかったのかもしれない。

アンラーンって言葉を知る前は、最初のものを選び間違えたから1からやり直しだ、みたいにマイナスに捉えてた。
けど、アンラーン によって、新しい余白ができたり、解して編み直したりそれになんか付け加えることで新しい何かが生まれるから、マイナスじゃないとわかった。

あと、内容だけじゃなくて、やり方もアンラーンした方がいいのかもしれないと思った。
前はいかに効率よく早く成果を出すかばかり見てた。
けど、英語の勉強を続けていて、ゆっくり時間をかけて、何度も同じことを、趣味程度に疲れないように、自分の楽しみの範囲で、っていうのも効果があるなってわかった。
だから、もう前みたいな一直線にゴールを目指すみたいなやり方はやめようと思った。
今だと男性学とかの「弱さを認める」とか人文系の人のよく言う「資本主義から降りる」って言葉で言われちゃうんだと思うけど、その言い方がなんかあんまりしっくりこなくて違和感があった。
なんか特権捨てるみたいな、けどそんなもの持ってへんわと思うし、資本主義行き過ぎとかってもっと投資とかやってる人が言えばいいと思うからそういう言葉を使いたくないって感じがする。
けど、アンラーンだとそういうニュアンスがないからすごいしっくりきていい。

40代はまだまだ若いしなんでもできるって言う。
それはその通りかもしれないけど、できるのは「なんでも」じゃなくて、今までの積み上げとか経験を壊した中からの「何か」じゃないかと思う。
前の自分だったら、何か新しい目標を無理やりにでも作ってそれを目指して一直線にゴールに向かうようなことをやってたけど、そういう態度ごとアンラーンしたい。
そして、そういうゆっくりとか何度も同じことをとか楽しくやるとか、一度学んだことを捨てるとかそういうのを恐れない態度、気持ちをラーンしたい。

人の信仰について

自分は日本人だからお葬式を仏教でして、正月は神社に行って、人生の節目にお宮参りや七五三を当たり前に行く、というのが当然だと思っていた。
しかし、公言していないだけで、何かしらの信仰をもっている人や宗教2世という人は意外と多いことに気づいた。
正直自分はこれまで、宗教に関して無神経な発言を多くしてきた。
新興宗教=狂信的な集団というような偏見がどこかにあった。やはり、95年のオウム事件の影響が大きかったせいだ。

先日自分の作った雑誌にムスリムの方のお酒についての経験を寄稿してもらった。

yagakusha.hatenablog.com


信仰でお酒を飲まないという生活をしている人に対して、「飲めないのは人生を損している」とか「かわいそう」と言うのは、こちら側の勝手な意見の押し付けだ。
信仰をもつということは並大抵のことではできないし、それを維持することも並大抵のことではできない。

信じないとか必要ないと言っているのに強要してきたり、何か迷惑をかけられたり、監禁や悪徳商法といった犯罪行為をしてきたら批判もしたくなるが、そうでないなら、人の信仰は人の信仰で尊重する必要があるのではないか。

宗教=狂信的とか変わった人という考えがそもそも間違っている。
それで心の平安が得られたり、居場所となっている人もいる。
一概に信者を頭や考えが足りないとか科学的でないと揶揄したり批判したりするのはちょっと違うのではないか。

また宗教2世に関しては、知らないだけで思っているより身の回りにいるのではないだろうか。
実際に当事者の話を聞いたり書いたものを読む機会を得て、自分で選んだ信仰ではない分複雑な気持ちをもっている人もいると知った。
人によって信仰のグラデーションもさまざまのようだ。

自分の身近な人が何かの宗教の信者かもしれない可能性だってある。
勧誘しないで自分の信仰を貫いている場合もあるだろう。
だから、あまり宗教をネタにしたり、それを信じている人を悪魔化して自分とは違うと線を引きすぎるのも、「○○は私だ」とか「一歩間違えば自分も」と過度に共感を抱くのもどうかと思った。
その人が普通に付き合える人なら、過剰な反応をせず、普通に付き合うのが大事だと思った。



選挙に行くのがだるくても

カナダに住んでいたとき、首相選挙があって私は選挙権がないので投票できませんでした。私はそれまで選挙権があるのが当たり前だったので、もしかしたら自分の周りにも選挙権がない人がいるのかもしれないということを考えたことがありませんでした。
選挙の話題となるとき、選挙権があるのが当然、投票できて当然、というスタンスで語ってしまいがちです。でも、カナダでの経験から、もしかしたら周囲には外国籍で選挙権がない人がいるかもしれないと考えるようになりました。
選挙の時期になるたびに、そういう人たちが周りにいるかもしれないことを忘れないようにしようと思いました。

また、以前、カナダに住んでいたとき、衆院選があって在外投票をしました。当時は在外投票は大使館まで行くか郵送でした。投票は大事ですが、郵便事情が悪い国の場合やどうしても大使館まで行けない場合は棄権せざるをえないだろうと想像できました。
今私は日本に住んでおり、選挙権があり、投票所が近くにあります。だから、そのときのことを忘れないようにしようと思いました。

この文章を読んでくださっている人の中には、選挙権があって投票所もあるけどなんかだるいし行きたくないみたいな感じの人もいるかもしれません。
でも、少しでもいいので、選挙権がない方のことや仕方なく棄権しないといけない人のことを考えてもらえたらと思いました。

やはり、選挙権がもらえているということはとてもラッキーなことだと思います。
せっかくあるこの特権を今日生かさないでいつ生かすのでしょうか。

kokeshiwabuki.hatenablog.com

2022年4月の読書記録

『母親になって後悔してる』オルナ・ドーナト (著)、鹿田昌美


女性が身体とか自然の方に割り当てられてあたかも子どもを産むのが当然みたいになってるのに意義申し立てをしている文章を今まで読んだことがなかったので、すごくよかった。あと、新自由主義社会では後悔は忌むべき感情とされているという分析も面白かった。たしかに私も子どもがほしいかどうかはっきりわからないのに、何かしておいた方がいいかもとずっと悩んでいたけど、それは、「後悔しないように」という気持ちからだった。
「後悔しない選択を」という言葉が、「正しい選択をしなければ」というプレッシャーとなる。後悔しても別にいいんじゃないか、人の考えは変わるんだし、というような柔軟さが減っているような気がする。後悔しないが行きすぎると返って生き方を狭めるのではないか。本筋とは離れるが、読みながらそんなことを考えた。

水納島再訪』橋本倫史


感想はこちらにまとめました。

portla-mag.com


『夢を見る』『赤い砂を蹴る』石原燃


書評では主に「彼女たちの断片」に触れたが、他の2作品もすごくよかった。
小説の『赤い砂を蹴る』には、共通するような人物も出てくる。
お母さんの津島佑子の小説も読みたくなった。

『きみはいい子』中脇初枝


どれも胸がぎゅっと詰まるような作品。
子育てとか、児童虐待を扱った連作短編集。

現代思想家政学の思想』

全体的に読み応えあってよかった。もうちょっと日本の家政学とか生活学の歴史とかもあるのかなと思ったけど、そこまではなかった。佐藤靜さんの奴隷と家事労働と移民の話と、藤原辰史さんと阿古真理さんの対談が面白かった。

現代社会はどこに向かうか』見田宗介

亡くなって悲しい。これが遺作になるのかな。

『いつかたこぶねになる日』小津夜景


買って積読状態でやっと読めた。結構今まで読んだことないものを読んだっていう新鮮な文章だった。フランスとか漢詩っていう対象もそうだし、なんか話が思いもよらないところに進む感じもそうだし、文体も新鮮でよかった。

・『恋じゃねえから』渡辺ペコ

中学時代、友達と付き合ってた塾の先生がアーティストになってて、友達がモデルかもしれない作品を作ってたってところから話が始まる。
タイトルが最初コメディかと思ってたけど、読み進むにつれて、関係の非対称性を端的に表した言葉で、この話を一言で言い表してることに気付いて、すごい!と思った。『1122』もすごいよかったから楽しみ。

 

・『違国日記』9巻 ヤマシタトモコ

槙生が次女で、好きなことやってて、たまたま朝を引き取った話なのがいいなと思った。こういう話、槙生が長女とかで義務感で子育てみたいな感じにも持ってけるけど、そうならないところが新鮮でいいなと思う。

・『奈津の蔵』尾瀬あきら


めちゃめちゃ面白かった!
男が戦争でいなくなって、女がこれまで禁じられていた酒造りに携わる話。
ただ蔵はずっと継いでいくものっていう物語のいちばん根底はちょっとしんどい・・・。

・『ながたんと青と』磯谷友紀

舞台は戦後すぐの京都の料亭で、見合いで政略結婚的に15歳差で結婚した夫婦が料亭を立て直す話。
細腕繁盛記的なやつかと思いきや、年の差婚、妻側の姓、血の繋がりのない家族など、要素が今っぽい。
あんまり意地悪な人とか嫌な人が出てこないので、あっさり読めるのがいい。

・『おうちさよなら日記』杉山由香

kakezan.thebase.in

母の死をきっかけに実家を片付けた建築家の日記。
実家じまいめちゃ興味あるので買ってみた。
実家じまいって重くなりそうだけど、この本は文庫本サイズで写真が多くて、文章も重い感じではないので、気が向いた時に読める軽めの作りがいい。

2022年3月の読書記録

『限界から始める』

鈴木涼美さんはデビューしたとき、なんか苦手だった。
何が苦手かわからなかったのだが、この文章を読んでよくわかった。

稼いだお金を払ってまでセックスしたがる男に対して、同じ行為をお金をもらってする自分、セックスを大切に保管している女性に対して、それを粗末に扱える自分は、優越感を持っていられます。(P117)


私は大事にしている方の人間だったので、鈴木さんのあの軽やかな文体を読むたびに「あんたにはこんなことできないでしょ」とか、「私は欲望される側の女なのよ」みたいな空気を感じて苦手だった。
でも、鈴木さんもその業界で傷つけられたり、苦痛を感じている部分があるとか、そういう態度は逆に鈴木さんが生き延びるための生存戦略的なことだったと書いてあって、前みたいな苦手意識はだいぶ薄らいだ。上野千鶴子さんも怖い人というイメージだったけど鈴木さんに対してものすごく寄り添うというか、ただ受け入れるんじゃなくてあなたと私は違いますと言いながら、何で傷ついているのか理解しつつ突き放したり、踏み込んだりしていて、その手綱さばきがすごいなと思った。
ウィークネスフォビアとか、名誉男性的ふるまいといった言葉が出てきて、自分がいかに家父長制を内面化していたかに気付かされた。そして、そういうふうに合わせないとみたいにがんばってきたことにも疲れたし、そうやって合わせていろんなことをなかったことにしたせいで傷ついてきたことにも気づいた。

 

『筆録 日常対話 私と同性を愛する母と』

台湾の土着の葬式のときにやる牽亡歌陣という芸能をやりながら生計をたてる一家に生まれたホアン監督が、女性が好きな母に話を聞いた『日常対話』という映画の監督ノート。
母の人生の大変さだけでなく、ホアン監督の人生の大変さも描かれている。
読んだ後しんとした気分になった。
これは映画も見なければと思ったけど、上映終了。いつか絶対見たいものだ。

www.smallt

『るるるるるんvol.3』
かとうひろみさん、UNIさん、3月クララさんの3名による文芸ユニットが定期的に発行する文芸誌。

lulululun.tumblr.com
須磨海浜公園前にある自由港書店で購入。
毎回お題があって、それに合わせた作品が収録されている。今回のテーマは鏡。
かとうさんの作品は、普通とか日常の大切さとかこちら側にふみとどまるのが大事みたいな話。まっとうさの大切さみたいな内容で、鏡はそれを写すものっていう感じ。
UNIさんは転勤族の妻の話。一見恵まれているように見える人の虚しさとか辛さとか、でも恵まれてるように見えるから共感してもらいにくいから一人で抱え込んじゃう感じとか、よくわかる。鏡が本心を引き出す感じ。
3月クララさんのは結構ひねりのある作品で、場面転換が大胆。読後感が、ちょっと気持ち悪い感じと爽快感の混じる不思議な余韻がある。鏡はルッキズムや呪いをかける道具って感じ。
三者三様で、個性が出ていて面白かった。

『馬馬虎虎 (マーマーフーフー)vol.2 タイ・ラオス紀行』
真面目に行きすぎず、ちょっとゆるくてくすっと笑える感じがまさにタイトル通りの馬馬虎虎(台湾の言葉で気楽にとかまあまあという意味)。
感想はこんどレビューを出します。

ryodanjyo.com

 

『つつがない生活』

『牛乳配達DIARY』のINAさんの作品。
地方在住の20代の夫婦。妻の歳の離れた小学生の妹がときどき遊びに来て、子守をしたり、バンドでアメリカ巡業に行ったり、地に足ついた生活の中で感じるちょっとした喜びや寂しさなんかを書いている。
結婚前に付き合ってた頃、手作り弁当もらって泣いて食べてるシーンがすごいよかった〜。

 

死者の書』上下

大学生のときに大塚英志『木島日記』読んで、折口信夫のこと知って『死者の書』読んだときはなんだか不気味で気持ち悪い話だな〜という感じだった。この間二上山に登ったので、舞台だからもう一回読んでみようと思って読んだ。
漫画だとまだ小説よりどういう話かわかりやすかった。
物語のキーになるのが、春分の日とか秋分の日で、その前後に奈良で読むと、すごく実感湧いていい。
絶対これも見に行きたい。

www.taimadera.org

www.narahaku.go.jp


『みそっかす』

去年『きもの』読んだらすごくよくて、幸田文はたまに気晴らしに読んでいる。
文章が異様にうまい。

本に年譜が載ってなかったので、wiki見たら、幸田露伴がものすごいお酒飲む人で、16くらいからうちの家事をやってて、弟の看病したりしていて、幸田文って今でいうところのアダルトチルドレンだったり、ヤングケアラーの側面があったりしたのではと思った。

 

『ありのままがあるところ』

鹿児島の福祉施設しょうぶ学園園長の福森伸さんの本。尹雄大さんが構成に入ってるらしい。
職員の話にページが割かれていたのが興味深かかった。
ともすれば健常者の常識を反省しがちだが、健常者、障害者、それぞれ特性があり、それぞれいいところを活かし合えばいいとあったのが印象的だった。
以前『福祉施設発! こんなにかわいい雑貨本』でしょうぶ学園を取材させてもらったことがあり、その際に福祉施設の職員さんというのは八面六臂の活躍だなあと感じていたが、『ありのままがあるところ』はそういう点にも目配りが効いているのがいいと思った。

 

『夢を見る』

今度仕事で書評を書くので読んだ。中絶、男性性暴力、日本人慰安婦についての戯曲が3編収められている。
戯曲はいままでほとんど読んだことがなかったけど、読んでみるとすっと読めた。
やさんのエッセイに出てきた人の声、母の歌」という文章もすごくよかった。『赤い砂を蹴る』も読もう。

www.lovepiececlub.com

 

○おまけ 最近読んでる漫画

断腸亭日乗

www.sunday-webry.com

体調が悪くて病院に行ったら大腸癌だった漫画家の実録闘病漫画。ほぼ同世代なんだよな、この人と思うと他人事と思えず読んでしまう。

『恋じゃねえから』

comic-days.comタイトルで勝手にコメディみたいな感じなのかなと思って読み進めていたら、中学生のときに同級生と塾講師が付き合ってて、そのあと塾講師はアーティストになって、同級生をモデルに作品を作っててって話で、「恋じゃねえから!」は、アーティストに対するつっこみになってる!!
『にこたま』『1122』もすごかったけど、これもすごい話になりそう。

『まじめな会社員』

comic-days.com

相変わらず課金して読んでる。
あみこ、いい方向に行きそう〜と思ったらおいおいそっちか〜いってなってて、でも持ち直しそうになったらまた違うことで大変って感じで、一難去ってまた一難って感じ。
なんか『A子さんの恋人』は都市生活者のクリエイターたちが主人公で、ファンタジーって感じだったけど、あみこは結構リアル。

ツイッターの感想で、"なんのアドバンテージも無い人間をそのまま描けるのは何にも無い人間は描く意味が無いという呪いが溶けてきているからだ。女が自分の惨めさを描けるようになったのは、惨めさを自己解決出来る自信がついたからだ。"っていうのがあって、これカムカムエヴリバディにも通じるな〜と思った。

朝ドラの『カムカムエヴリバディ』も、ひなたは27で恋人と別れて、そのあと英語をやりだすんだけど、結婚できないとかうじうじしたりしないで、家の味を受け継いであんこが作れるようになったし、焼けなかった回転焼きが焼けるようになったし、英語もできるようになった。それは人から見たら小さいことかもしれないけど、ものすごく"自己解決"だなって思う。
自分がどれくらい進歩したかって自分ではわかんないから、人に「すごい」って言われることを求めがちだけど、ほんとに大事なのは人に「すごい」って言われることじゃないってことを、この二つの作品は描いてて、そこがいいなって思った。


週刊金曜日』、QJweb、好書好日、Wezzyなどで書評、著者インタビューを書いています。

【最新情報】
週刊金曜日』3/25号書評欄「きんようぶんか」に小松原織香さんの『当事者は嘘をつく』の書評を書きました。


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