こけし日記

読むことと書くことについて

わたしの服いいでしょ!と言いたくなる はらだ有彩『百女百様』

はらだ有彩さんの『百女百様』を読みました。
はらださんはイラストも文章も書くテキストレーター!

   


これは服についての本、といってもファッションブックではありません。
特徴はなんといっても常にジャッジに晒されがちな女性の服装に対して、
はらださんがまちで見つけた「自由な装い」をしている人について語り、描く一冊。
ドレスアップした全身ピンクの服装、あるいは全身黒ずくめの服装から、
作業着やスウェットといったドレスアップとは無関係な服装、
果てはウエディングドレスやリクルートスーツ、水着といった、
特定の時に着る服まで含めた
さまざまな年代の、国籍の、いろんな服装が登場します。

お洒落/ダサい
似合う/似合わない
TPOに合ってる/合ってない

服を着る時って常にこういうような視線に晒されていて、
無難、無難に済まそうとしてしまうことがあります。
あるいは、本当は着てみたくても、
人に何か言われることを恐れて着られない服があったりします。
逆に、自分がそういう視線を内面化してしまっていて、
人にそういうジャッジを下してしまうこともあります。

ここに出てくる服装はそんなジャッジを下されそうなものがたくさん含まれています。
が、はらださんはそのジャッジを逆に問い返します。
それはここ百何年かの常識に縛られてるだけなんじゃないか、
もっと自由に考えてみたらいいんじゃないか、と。
とにかく全部に共通するのは、「人の格好ジャッジする方がダサい!」
これが、なんとも痛快で、そしてとても安心するのです。

ちなみにわたしは普段岡ハイカーとでもいうような、
アウトドアっぽい服装をしています。
非常に生活しやすく、快適ですが、
「お洒落はガマン、お洒落は背伸び」
そんな言葉が一昔前は当たり前で、
その言葉で育ってきた身からすると、
たまにはヒールくらいとか、たまにはスカートくらい
といった気分になることもあります。
そういう時自分の背中は丸くなります。

しかし、これを読むと、
その服いいね!あったかいし、動きやすいし!と言われて
応援されているような気分になります。
そして堂々と胸を張って、
そうなんですよ、ポケットが多いし保温性もあるし丈夫でサイコーなんですよ、
とわたしの服を自慢したくなります。