先日文学フリマ東京36に出ました。
過去最多の1万人以上の参加があったそうです。
正直初めての出店でかなりナーバスになっていたのですが、初めましての方、以前から見てくださった方、お久しぶりの方、いろんな方にお会いできて、思い切って出てみてよかったです。
Twitterにも投稿しましたが、自分が行っていちばん思ったのは、現場に行ったことで今までの変なこだわりとか、鬱屈が取れて吹っ切れたことでした。
文フリ東京では、ジャンルごとにアルファベットでブースが分けられていますが、私の本が置かれているお店に行った際によく見る書き手の方が近辺のブースに配置されていて生で見たとき、ガーンと頭を殴られたような感覚になりました。
私の本は本屋さんにも置いてもらっていますが、置かれているのはいわゆる独立系書店と言われるお店です。
これは、紀伊國屋書店さんやジュンク堂といった大手やチェーン店ではなく、独自で仕入れをしているようなお店のことです。
独立系書店の中でも、注目される本というのが一定数あって、私は以前はそこでお名前をよく聞く方の動向をかなり気にしていました。
なんと、周辺のブースにしょっちゅうお名前を聞く人たちが一堂に会していたのです。
お恥ずかしい話ですが、以前は自分もそのような話題になっているような人たちのように、メディアで発信したり、日記を書いたり、ポッドキャストをやったりした方がいいのかと思って同じようにやろうとして、できなくて鬱屈していました。
どうしてそんなに周囲の動向を気にしていたのかというと、自分の本を書籍化したかったからでした。以前の私は書き手としてそれだけで食べていけるようにならないといけないという気持ちが強く、かなり書籍化することにこだわっており、そのためにはまず東京の出版業界で話題にならなければいけないという気持ちが強かったのです。
しかし、実際に現場に行ったことで、わたしが気にしていたブースなんてほんの一部に過ぎなくて、それよりも見たことない本やジャンルの方が多くて、 それを売り買いしている人がいることに衝撃を受けました。
自分はこんな狭い世界にいたのかと唖然としてしましました。自分はなんと狭いところしか見ていなかったのだろうと、ショックを受けて恥ずかしくなってしまいました。
また、話題になっていた人たちが実際に販売している姿を見て、すごく当たり前のことなのですが、人間なんだなと思いました。
それまでは人をツイッターのアイコンとか記事とか配信動画とかポッドキャストとか作品だけで判断し、いままで人をデータのように見ていたことに恥ずかしくなってしまいました。
けど、行ってみて、作品を読んだことがある方もない方も、同じように人間で、生活してて、プロかアマ問わず仕事として、あるいは仕事の合間にこうして時間とお金をかけて作って売りに来てるんだと思うと、真似する必要もないし、同じやり方をする必要もないなとわかったのです。
また、以前から自分の中にうっすらと”出版業界”とか”東京の編集者”に一矢報いたいという気持ちがありました。出版社に正社員として就職できなかったことや会社を辞めないといけなかったこと、それに対して悔しい、フリーになって見返したいという気持ちが強すぎて、仮想敵扱いしすぎていました。
しかし、もう世代交代もすすんでいるし、私が東京で勤めていたときと雰囲気もだいぶ変わっているでしょう。
”出版業界”とか”東京の編集者”といったって、一人ひとり違う人間なのに、自分で作ったただの仮想敵に鬱屈なんかばからしいなと気づいたのです。
そして、今までの腐っていた自分がなんて小さいんだろうと恥ずかしく思えました。
もうあんまり人と比べてもしょうがないし、人は人、自分は自分で、自分の作品を作って出して届けるのが大事ということがやっと腑に落ちました。
また、以前の話題になりたいと思っていたときは、読者の人が見えていませんでした。
暗闇で踊っていて誰も見てくれていないような気持ちで、余計にSNSで話題になりたい気持ちもありました。しかし買ってくれた人や手に取ってくださった方がいたことで、自分には読者がいて、その人たちに支えられていることがよくわかりました。
きっとこれからも一人で作って売ってく限りは浮き沈みはきっとあるでしょう。どうしたって書籍化したいとかそれだけで生活費の大半を賄いたいとか多少の欲は出てきます。それはゼロにはできません。やってる限りどこかで”一発当てたい思考”はつきまといますが、それに囚われすぎないようにこれからもやっていきたいです。
!カレーを食べた方へ!
販売していたカレーに腐敗があったようで、返金対応などしてくださるそうです。
食べた方でご存じない方がいらっしゃったらと思い、参考に掲載しておきます。
【5/21の文学フリマ東京36会場でカレー弁当をご購入いただいたお客様へ】
— インド定食 ターリー屋【公式】 (@thaliya01) 2023年5月22日
お客様から「お米に粘り気がある」とのご指摘をいただきまして、会場にて10数食ほど販売した段階で、カレー弁当の販売を全てストップ致しました。
誠に申し訳ございません。深くお詫び申し上げます。