こけし日記

読むことと書くことについて

飲まない生活 04

ゆるく飲まない生活をはじめて4ヶ月。この間オンライン飲み会で飲んだから、5回飲んだ事になる。できたら月1回に減らしたいので、今月はもう飲まない。
今回はどうしてお酒を飲むのをやめようと思ったかの話。

 

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お酒はコンプレックスの裏返し

飲まない生活をはじめて、気づいたことがある。
私はお酒が強い人とか、お酒が好きな人に見られたかっただけで、実はそこまでお酒強くないし好きでもないかも・・・ということ。

気づいたきっかけが、ライターの江角悠子さんとメールのやり取りをしていて。江角さんはブログで、家族との関係や経験から、自分が実は「アルコールを憎んでいた」って気づいたそうだ。
江角さんに「太田さんはどうしてやめたいんですか?」って聞かれた時に、私はお酒を飲む時に実は無理してるのでは?っていうことに気づいた。

大学生の時は、飲み会の仕切りをうまくやらないといけないか先輩に粗相をしてはいけないというのがプレッシャーだったし、就職してからは、お酒の場でうまく振る舞うことが、仕事の評価につながっているような圧を感じて、自分がそれをうまくできてないというコンプレックスがあった。

特に私がなりたかった編集者とか、ライターは、一昔前のイメージだと、酒好きとかお酒に強いとか、お酒の場でどんどん面白い企画が決まって、みたいな雰囲気があった。酒場で人と仲良くなって、それを企画に生かすのがいい編集者とかライターとか、そういうところで遊び慣れてるのが粋みたいな。でも、私はそういう性格じゃないから、結構それがコンプレックスだった。

実際に編集者やライターになって知り合いも増えてくると、そんなことはないし、いろんなタイプがいることがわかってくる。けど、昔勤めた会社にはそういうタイプの方が多くて、「遊ばないとダメ」とか「酒の場で企画をもんで」みたいなことをずっと言われてきたから、自分も無理してそういう皮を被って、仕事ができる人に見せたかったことに気づいた。

永田カビさんの『現実逃避していたらボロボロになった話』では、永田さんがアルコールを飲む理由の一つに「大人になった気分」が味わえるから、とあった。永田さんは大人じゃない自分にコンプレックスがあって、自分が大人になったという自覚が欲しくて飲んでたんだとしたら、私がお酒を飲む理由もそういう自分のコンプレックスの裏返し的なものがあったかもしれない。

「つまらない」が口ぐせ

話は変わるが私の口ぐせは「つまらない」だそうだ。
そうだ、というのは自分で気づいてなかったからだ。
「よく『つまらない』って言うけどそんなの自分で楽しくすればいいんじゃないの?」と、夫に指摘されて初めて気づいた。
え、私、そんな人から指摘されるほど「つまらない」って言ってたの!!
だけど、指摘されてもなかなか治らなかった。
「気をつけるよ」って言った端から「つまらない」と言ってしまうのは、その理由がわかってないからだ。

だけど、町田康さんの『しらふで生きる』に答えが書いてあった。
自分がたいそうな人間だと自惚れていて、幸せになるべきとか楽しむべきって思っているから、その楽しさや幸せをゲットするために酒を飲むのだ。

町田さんの本を読んで、が〜んと思った。
つまりは私は自分のことを高く見積もりすぎのアホだった。
周りがキラキラして自分がそれに見合ってない気がしたり、自分は平凡でつまらない人間でそんな自分が嫌だってイライラから「つまらない」って言っていた。
からしたら、それは自分といるのが「つまらない」って言われているようで嫌だと言う。言われてみたら当たり前なのに、そんな気がまわらないくらい自然に口から出ていた。

「『つまらない』なら自分でおもしろくしなよ」
全く夫の言う通りだ。
永田カビさんは創作からの逃避でお酒を飲んでいたそうだが、私は自分のつまらなさからの逃避でお酒を飲んでいたのかもしれない。

酒を飲んでも自分からは逃避できない

そんな風にして飲んでいると、自分の中に、いつの頃からかお酒がないと楽しくないみたいな思い込みができてきていた。
無理して飲んだり、飲まなくていいのに飲んだり、必要以上に飲んだり。
だんだん飲んだあとの楽しさと、飲む前の凪のギャップが苦しくなって、
普段の凪が耐えられなくなってくる。
結局私は、自分の人格や人生のつまらなさを酒でカバーしていたのだろう。そして、自分はなんて底の浅い人間なんだろうと思った。

町田さんは、酒をやめるには自分は普通以下のアホ、人生はつまらないものと思うところからだ、とアドバイスしていた。
自分が人間としてつまらない、自分の人生がつまらないから酒を飲むなら、やることは酒を飲むことではなく、つまらなくないようにすることだ。
人と比べてよそ見をして落ち込んだり羨む暇があったら、やるのは酒を飲むことではない。

酒を大事にする

みんな口実をつけて酒を飲む。
お祝いだから、憂さ晴らししたいから、みんなで集まりたいから、嬉しいから、悲しいから、寂しいから・・・。
その中に本当に飲んだ酒はいくつあるだろう。
実は人生において、本当に飲みたい日は少ないのではないか。
本当に飲みたくて飲んでいる酒は数えるほどしかないのではないか。

何かのために飲んでいるなら、ちゃんと味わってないし、酔って忘れてしまう。つまり、本当に酒を飲んだことにはならない。
だから、これからは酔うためではなく、美味しいから飲むという風にしたい。何かを忘れるためではなく、酒のことは全部記憶に残すくらいの勢いで飲みたい。そうじゃないと酒にも、店にも、酒の場をセッティングしてくれる人にも失礼だ。

それにそうやって飲んだら、無理に量を飲んだり、周りにつられて飲んだり、雰囲気で飲んだりしなくなるだろう。
これからはそういうふうに酒を大事にしたい。
本当に美味しい酒だけを、本当に飲みたい時に、楽しく飲みたい。