こけし日記

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日本語教師の勉強をしてよかったこと

この間日本語教師養成講座の全課程が終わって修了した。
これで晴れて日本語教師として活動できるお墨付きをもらえたことになる。
この講座を受けてよかったのは、自分の日本語観が変わったことだと思う。

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言葉は進化する

出版の仕事をしていると「正しい日本語」ということを常々意識する。
特に出版の人は「辞書に載っている意味を正しく使え」と言う人が多い。
それは、どこかに絶対的に正しい日本語があって、それに合わせないという考え方が背景にあると思う。私もそう思っていた。
けど、その辞書も絶対的なものではない。
辞書は絶対的に正しい意味や用法を載せているというよりかは、その時代において一般的に使われている意味だったり用法といった「慣例」を載せているものだと思う。
実際に辞書を作る際にも、周囲の人の言葉遣いや雑誌や新聞といった出版物から探してきて載せているという話を聞いたことがある。
だから、辞書も時代によって言葉の意味や載っている言葉はどんどん変化する

前は「正しい言葉遣い」というものがあって、それを正しく伝えなくてはいけないと思っていた。
けれど、言葉には経済性というのがあって、できるだけ簡単に発音しやすく言葉が変化していくそうだ。
言葉は変化するのが自然なのだ。

今まではどちらかというと、新しい言葉や従来ある言葉の新しい使い方に対して
「言葉の乱れ」と捉えがちだった。
けど、それを「言葉の進化」と見る見方もあるのだ。
これからは言葉の乱れに目くじらを立てたり、嘆いたりするのではなく、
由来や、どういう方向に進化するのか考えながら、新しい用法も取り入れて文章を読んだり書いたりできたらいいなと思った。

日本語も世界で数ある言語のひとつ

日本語を特別視するような意見がある。
日本人だから日本語が読み書きできて当たり前、それ以外の国の人は日本語の表現の豊かさを理解できないという意見だとか、
日本語はオノマトペや語彙が豊富で優れた言語といったような意見だ。
私はそういった意見に対して、今まであまり深く考えずに異論を持ったことがなかった。

でも、日本語教師の勉強をして、言語の体系だったり語彙の豊富さというのはそれぞれの言語によって違うということがわかった。
例えばオノマトペの豊富さでいうと、韓国語だって多いし、英語はオノマトペじゃなく動詞によって変化をつける。
それは単に言語の特徴であって、優劣を言うものではない。
日本語に特徴があることと、それを特別視するのは全然別の問題なのだと意識するようになった。
それから、日本語母語話者ではないけど、日本語教師の勉強をしている人に会ったことも大きかった。
今までは言語を習うならネイティブがいいと思い込んでいたけど、ネイティブでないからこそ教えられる部分もあると知った。
その人が学習過程でつまづいた部分や難しいと感じる部分、日本語独自の表現だと考えられる部分は、ネイティブである日本人にはわからない。
今までは知らず知らずのうちに日本語は日本人のものだと思っていたから、日本語母語話者ではない人も教えられるということに驚いたんだと思う。

でも、英語母語話者でない人が英語を指導することに何の疑問も持たないのと同じで、日本語も世界で数ある言語のひとつなんだから、それは別に驚くことではないのだ。
自分がこれから指導するときは、日本語ネイティブであることを特別なことだと思わないようにしようと思った。
言語を指導する上で、ネイティブだと優位に立てる。でも、それはあくまでも言語だけであって、性格とか文化とか国柄とかまで優位に立ったわけじゃないからだ。

他にも、細かい文法事項が知れてよかったとか、音声学のおかげで英語の発音との違いがよくわかったとかいろいろあるけど、総じて受講してよかったと思う。
10月からは働き始めて、また違った立場になるので、自分の日本語観がどんな風に変化するのかこれから楽しみだ。

お知らせ

今度『仕事文脈11号』「35歳からのハローワークという連載を始めます。
35歳以上で新しく仕事を始めた人に話を聞いてジョブチェンジのヒントを探ります。
第一回目は日本語教師を取り上げるので、この記事を見て興味もった方は是非!

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