こけし日記

読むことと書くことについて

バンクーバーのリアルな食生活(バンクーバーA to Z:番外編[thefoodconection])

一年住んでみて感じたのは、バンクーバーは食べ物に関する関心が高いということ。

その理由の一つは、たくさんの民族がいて、その民族のもたらした文化が混じり合うンマルチカルチュラルな都市だから。
まちを歩けばいろんな国のスーパーやレストランがあり、いろんな国の料理にアクセスできます。さらにマルチカルチュラルな都市では、いろんな国の料理が融合して新たなスタイルが生まれています。日本の寿司がアボカドやサーモンと融合してウエストコーストスタイルのスシロールになったりしています。こういうふうに、自然といろんな国の料理に出会う機会が増え、食べ物への関心が高くなることが一つ。

もう一つは移民文化の国だから。生きていくのにまず必要なものが食です。移民したときにいちばん困るのはこれまでなじんできた食べ物をどう手にいれるか。自分の国で簡単に手に入っていたものが手に入りにくくなると、自作しようとしたり、代用品を探そうとします。

そういうわけで、バンクーバーでは食べ物に関心のある人、それもただのグルメじゃなく、主体的に関わろうとする人が多いと感じます。「主体的に」というのは、自分たちで作ったり、安全な食べ物を求めたり、地域のつながりや貧しい人でもアクセスできるようにするための団体や活動が多いと感じるということです。
そんな食に対するアプローチの多様さがおもしろいと感じ、今回はバンクーバーA to Zの番外編として、The Food Connection(フードコネクション)というバンクーバーの食に関する団体のことを紹介します。

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Foodconection(フードコネクション)では毎月最終水曜日に、食べ物に関するワークショップを無料で開催しています。

どんなワークショップをしているかというと・・・

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秋はぶどうジャム作りのワークショップ


ぶどうは町の公共スペースや庭の果物の木になっている果物を、
ボランティアがもいで地域に寄付する活動をしている
vancouver fruit tree projectという団体からの寄付によるものです。
地域の団体やプロジェクトとコラボしているときもあります。


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完成したジャムはそれぞれ持ち帰りできます。

春は家庭菜園のためのワークショップ
ビーキーピング(養蜂)の本を出したロリさん、市民農園をやっていて野菜作りに詳しいキャサリンさんがやってきて、参加者にアドバイスをくれました。

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種も無料で分けてくれます。

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さっそくまいてみました。今こんな感じで育っています。

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過去にはスロウクッカーという調理器具の使い方やレシピ交換のためのワークショップ、救急救命を学ぶワークショップなども開催されていました。

the food connectionのワークショップがおもしろいのは、
単なる料理教室じゃないところです。
食に関することならなんでも、食材、料理を作ることから食べることまで、
技術、情報のシェア、それから仲間づくりも目指しているところ。

この団体を立ち上げたのは、バンクーバーの小学校でガーデニングを教えているJoey (ジョウィー)さん。
友人2人と3年前に立ち上げました。
「現代は食べ物がどこから来ているかが分かりにくく、食べ物の作り方についての知識が薄れていることについて危機感を持った」ことがきっかけで、
「みんなで一緒に料理をしたり食事をシェアしたりすることで、食べ物に関するリテラシーを高めたい」と、この活動を始めたそうです。

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開始前に行われるポトラックパーティーもこのワークショップの魅力です。
ポトラックパーティーというのは、一人一品食事を持ち寄って集まること。

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この日は野菜を使った料理がテーマでした。

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ポトラックの魅力というのは、少ない予算でも一人一人料理を持ち寄ることで、いろんな食事がとれること、それぞれ持ち寄った食事から会話やコミュニケーションが生まれることだと思います。

それに加えて、カナダ人のリアルな食生活が知れることも魅力です。
特にバンクーバーでは移民が多く、なかなかカナダ生まれのカナダ人に会う機会がありません。また、スーパーやレストランといったちょっとよそいきの姿の食事を知る機会はあっても、カナダ人と友だちにでもならない限りは、カナダの家庭料理に触れる機会はありません。

カナダは移民社会であり、いろんなバックグラウンドを持った人たちが集まります。だから家庭料理にもそのバックグラウンドが反映されています。それぞれの家庭料理を味わえるのも楽しいです。


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同じものを食べると仲良くなるというのはよく言われることです。
それは、知らないものを食べている人は距離が遠く感じるということの裏返しだからです。知らないものを食べるのは結構ハードルが高いし、それを食べている人を理解したり仲良くなるのはもっとハードルが高い、というのは言い過ぎでしょうか。
だから、その人と同じものを食べたり、その人の食べている食べ物を知ることがその人と仲良くなったり知ることにつながると感じます。
食べ物への理解が即文化への理解につながる、というのは安直かもしれませんが、互いの食べ物を知ることは、バックグラウンドの違う移民たちが、うまくやる知恵の一つだったと思います。

そこまで難しく考えなくても、知らない料理や珍しい料理に出会えたり、
いろんな人と知り合いになったりするのは楽しいので、毎回参加しています。

みなさんも機会があればバンクーバーのリアルな食を味わいに参加されてはいかがでしょうか。

(The Food Connection)
http://www.thefoodconnection.ca

参加費 無料
   ※ただし一品持ち寄り形式
毎週水曜日にMount Pleasant Neighbourhood Houseで開催