こけし日記

読むことと書くことについて

『ヤンキーと地元』打越正行✖️岸政彦@ロフトプラスウエスト(2019年5月3日)

昨日はロフトプラスワンエストでやっていた『ヤンキーと地元』の講演会に行った。著者の打越さんと社会学者の岸政彦さんが来て対談していた。



普通はどうしてこんな本を書いたんですかとかおもしろいエピソードはみたいな話になるけど、岸さんがガチガチに理論でどう読み解けるかという話をしていて、イベントって言うより一コマ講義を受けた感じだった。

打越さんのほかに岸さん、上間陽子さん、上原健太郎さんの調査の話が出てて、フィールドワーカーによって調査スタイルが全然違うのがおもしろかった。得意不得意があるけど、不得意があってダメって感じでもなくて、それを自分にあったやり方でやっているのもおもしろかった。

わたしが学生のときはフィールドワークの本は理論の本と論文ばっかりで、学生の頭では理解しきれなかったり、紋切り型に捉えてしまうことが多かった。
例えば、「調査は暴力だ」という話がある。人の話を聞いてまとめることはその人の人生に影響を与えることだ、だから調査の本ではまずそれを意識しろと言われる。そういう言葉も、いまいちピンと来てなかった。
調査方法も、レコーダーをずっと回すか、フィールドノートをどう書くかも正解がよくわからなかった。
本だけだとここが知りたいって部分がよくわからなかったりするし、学会は敷居が高かったりした。だからこういうイベントでいっぱいフィールドワーカーがいて、それぞれやり方があって別に正解はないってわかったのがすごい印象的だった。
今はこういう一般書として社会学の本が出たりじかに話を聞けるイベントもあって、すごいいいなと思った。

打越さんは9年くらい前に会ったことがあって、そのとき打越さんは大学院生で論文が書けないと言っていた。わたしは研究とかに自分が向いてないと思ったし、いろいろあって辞めてしまった。打越さんはこんなことを長いことめげないで続けて成果を出されていて、本当に頭の下がる思いがした。

案の定夢の中で昨日のイベントにあてられて、大学院生になって、ゼミに行ったり調査をしていた。
朝起きて、なんとも言えない気分になった。わたしは学生時代に社会学を勉強して、フィールドワークに憧れがあったけど、理論がうまく理解できてなかったり、現場に行くのが怖かったり、自意識の方が強すぎて人の話をちゃんと聞いたり、まとめたりうまくできなかった。そういう学生時代の苦い気持ちを思い出して微妙な気分になった。

わたしの行った学校は理論の人が多かったのと、歴史資料とか表象から何かを読み解く人が多かった。岸さんは調査を重視されるけど、わたしはそういう歴史資料とか表象とか扱う社会学も好きだ。いっとき岸さんの本を読むと自分の学生時代やったことが無駄みたいに思ってしまうのが嫌でしばらく読まないようにしていた。あと、自分の人生がいろいろ嫌になって、社会学なんかもう知らんと思って全部本を売ったれと思ったときもあった。
昨日行ってやっぱり社会学おもしろいと思ったから、無理に処分しないでいいかと思った。
ほかにも読んでない本いっぱいあるし、学生のとき読めなかった本も今だったら読めるかもしれない。
またもう一回いろいろ読もうと思う。