近所のレックビーチ(WRECK BEACH)はヌーディストビーチとして知られている。
以前スペクテイター〈19号〉Whole Pacific Northwest Life Catalog vol.1
のノースウエスト特集でここの記事を見て、カナダに住んだら行ってみたいとかねがね思っていた。
夫も同僚からレックビーチについて聞いてから行きたいと思っていたらしく、夏の始めに私たちは散歩をかねて偵察に行った。
バンクーバーとアラスカ行きを予定している人にはおすすめ
ビーチがあるのはブリティッシュコロンビア大学のすぐ裏で、
大学を抜けてすぐのところに入り口がある。
この看板が目印
わたしは早速のどが乾いて、売店でコーラを買った。
なぜ熊がいるのかは不明
3ドルか・・・
スーパーで買えば1.25ドルくらいの何の変哲もないコカコーラだ。
このくそ長い階段を30分くらいおりた
下った先にはいよいよビーチだ。
どんな感じだろうと胸をわくわくさせていたけど、
そこに広がる光景はそんなにインパクトがあるという感じでもなかった。
全裸の人と着衣の人の割合は半々くらいだった。
日本みたいに、海の家ぽい屋台も出ている。
エスニック調の布を売る店、サングラスを売る店、サンドイッチ屋などがある。
サンドイッチはベジタリアン用もあって、こういうところは北米ぽい。
海に近い方では、全裸でヒッピーぽい人が音楽を鳴らして踊ったり歌ったりしている。
みんなあまりにも堂々としており、なんだか着衣の方が間抜けなような気分になった。
夫がぬいでみたいと言った。
わたしもそう思った。
しかし、いきなりはちょっとということで、改めて出直すことにした。
問題は体毛だった。彼らの多くに毛は見受けられなかったからだ。
いろいろググってみたところ、処理をするのが一般的のようだった。
とりあえずきれいに整えてから行くことにした。
数日後
今回は事前にスーパーでコーラとポテチを購入してきた。
ほんとうは飲酒したいところだったが、あいにくカナダでは野外での飲酒が禁止されている。
うちにピクニックシートがなかったので、バスタオルを持って行くことにした。
わたしと夫はまたあの長い坂道を幾分か高揚した気持ちで下った。
またこのくそ長い階段をおりた
ビーチについた。
さっそくくつろぐのによさそうなところを探す。
海岸が見えてあまりさわいでいない人がいるところにバスタオルを広げて寝転んだ。
わたしは服の下に着てきた水着姿になった。
夫はあまり躊躇せずにさっそく脱ぎ出した。
しかし、脱いだからといって周囲の人に特に注目されるわけではない。
どう? ときいても「別に」という感じだったので、わたしも脱いでみた。
しかし脱いだからといって、思い切ってやってやったというような感じがしない。
自然と一体になったぜ!みたいな開放感を実感するわけでもなく、
素の自分をさらけ出したわ!と自分を賞賛する感じとかもわいてこない。
なぜだ?
裸と聞くと恥ずかしいとか性的な連想を浮かべるが、じろじろ見る人はいないし、みんなあっけらかんとして普通にしているからだと思う。
裸の人もいる以外は日本の海水浴場とたいしてかわりがない。
それよりも、むしろああーなんかこの感覚知っているぞという感覚。
なんだっけ?
そのとき夫がぼそりとでかい銭湯みたいだと言った。
まぶしいがきついというほどではないあたたかい日差し。
遠くには海があって、裸の人がぶらぶら歩いている。
その人たちに大麻やビールを売り歩いている人がいる。
売り子の人たちも裸。
くつろいだり、酔っぱらいがいたり、音楽が鳴っていたり、
いかがわしいものがあって、知らない人同士が裸でくつろいでいる。
この光景は、まさに、日本の銭湯とか温泉そのものだ。
こちらにも温泉はあるけど、水着で入ってもっとちゃんとした感じと聞いたので、日本とはだいぶ違うんだなあと思っていたら、まさかヌーディストビーチで温泉感覚を味わえるとは・・・。
日本の感覚だとヌーディストって露出狂とか性的な趣味と混同しがちになるけど、ナチュリズムとかヌーディズム(日本語では裸体主義)という思想のもとに行ってる行為みたい。
Wikipediaのヌーディズムの項目を見たら「全裸でありながら服を着た状態と同じように過ごすこと」と定義されていて、レクリエーションとかリラックス法の一種らしい。
こちらのスパでは水着を着ないといけないけど、日本の温泉だと裸でもいいというのは、一種のヌーディズムみたいなもんかもしれない。
わたしと夫はバスタオルの上でごろごろしながら、ポテチを食べてコーラを飲んだ。
泳いでいる人もいたが、バンクーバーの海は内海であまりきれいではなく、
少し前にタンカーの事故があったとも聞いていたので、泳ぎたいと思えなかった。
夫はひとしきり飲み食いすると飽きてきたと言って、
わたしのiPhoneに入っている電子書籍を読み出した。
1時間くらいごろごろしたあと、これじゃあうちにいるのとあまり変わらないと思ったので、帰ることにした。
わたしたちが服を着てもだれも注目しなかった。
(WRECK BEACH)
ポテチ 2.25ドル
コーラ 1.5ドル
コーラ(偵察時) 3ドル
合計 6.75ドル
また別の日に行ったら前回みかけなかったコーヒー屋台があった。
おじさんは陽気に写真に写ってくれた
店のおじさんは上半身が着衣だったけど、下半身は裸だった。
電子ピアノを持ってきていて、客が来ない間はずっと練習していた。
「俺はブルースが好きなんだ」とか言って、いろいろ弾いていた。
ちなみにこれが3ドル。
味は普通。スタバとかのアメリカーノが2.25ドルくらい
みなさんも夏場は銭湯気分を味わいにヌーディストビーチへ繰り出してみてはいかがでしょうか。
おまけ
ヌーディストビーチに行きたい人のために基本的なマナーについて触れておきます。
・clothing optional beachというのは、着衣でも脱いでもオッケーという意味です。
全裸じゃないとダメなビーチもあるので、その辺は行く前にチェックしてください。
・ヌーディストビーチではプライバシーを尊重する必要があります。
ヌーディストビーチ=銭湯論と考えてもらえればおわかりのとおり、銭湯でカメラを出したら失礼なのと同様、基本的に写真撮影は禁止&じろじろ見ちゃダメです。