こけし日記

読むことと書くことについて

人生に損も得もない

尹雄大さんの講座に行った。 3月4日|尹 雄大「離れない記憶、手放したい思い」文筆家・尹 雄大さんの「記憶」を主題とした講座のご案内です。座学と実技を交えながら、自身の“記憶“に立ち止まり、また他者の記憶に触れ、それらを否定することなく、隠れた記…

2023年2月の読書記録

萩尾望都『思い出を切りぬくとき』 kokeshiwabuki.hatenablog.com このブログでも書いたけど、ずいぶん思い切りのいい人という印象だった。文章がうまくて、めちゃくちゃ面白かった。『ポーの一族 青のパンドラ』萩尾望都 スケールでかすぎて大感動。まさに…

2023年1月の読書記録

『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ(友廣純訳) 前に読んだ『エデュケーション』(父親がサバイバリスト(終末論者)で学校に通わせてもらえなくて自力で大学に行ったアメリカの女性の自伝)とかこの間見た『罪の声』とかぶるところがあった。…

孤独は制作の最良の友

先日このエッセイが公開されたが、書ききれなかったことがあった。作家に「タレント性」が必要かについてだ。 www.e-aidem.com このエッセイでは、編集者になりたいけど自分には初対面の人とすぐ打ち解けられるようなコミュ力がないのではないかという恐れか…

卑屈の芽はどこから出てくるのか

私の今年の目標は好きなものから食べると卑屈にならないだ。好きなものから食べるというのは、私の夫は好きなものから食べるタイプで、やりたいことからやっていって、やらないことは全然やらないというタイプで、屈託がない。一方の私は自分が嫌なことでも…

やってみたいことリスト100

前からやってみたかった「一生のうちにやってみたいことリスト100」を作ってみた。ほとんど〜に行きたい、見たいになってしまったけど、それでもいいかと思った。今年は何個実現できるだろうか。 三仏寺投入堂に行く さざえ堂に行く 自分で自分の服を作る 自…

2022年の8冊

毎年恒例の今年の○冊。(順不同)本当は毎月読書記録をつけたかったけど、忙しくて4月でストップしてしまった。あとでまとめ直すかも。今年はあんまり新刊とか人文書を読まなかった。 ※書評で取り上げた本、自主制作流通系の本は除きます。『おっぱいとトラ…

アンラーン

この間『鎌倉殿の13人』を見ていたら、鎌倉幕府の行政機構って、政所と侍所とあとなんやっけ?ってなってすごいショックだった。あんなに受験勉強したのに!一応地歴の高校免許もとったのに!(答えは問注所)日本語教師の研修で、一度身につけた知識がもつ…

人の信仰について

自分は日本人だからお葬式を仏教でして、正月は神社に行って、人生の節目にお宮参りや七五三を当たり前に行く、というのが当然だと思っていた。しかし、公言していないだけで、何かしらの信仰をもっている人や宗教2世という人は意外と多いことに気づいた。正…

選挙に行くのがだるくても

カナダに住んでいたとき、首相選挙があって私は選挙権がないので投票できませんでした。私はそれまで選挙権があるのが当たり前だったので、もしかしたら自分の周りにも選挙権がない人がいるのかもしれないということを考えたことがありませんでした。選挙の…

2022年4月の読書記録

『母親になって後悔してる』オルナ・ドーナト (著)、鹿田昌美訳女性が身体とか自然の方に割り当てられてあたかも子どもを産むのが当然みたいになってるのに意義申し立てをしている文章を今まで読んだことがなかったので、すごくよかった。あと、新自由主義社…

2022年3月の読書記録

『限界から始める』 鈴木涼美さんはデビューしたとき、なんか苦手だった。何が苦手かわからなかったのだが、この文章を読んでよくわかった。 稼いだお金を払ってまでセックスしたがる男に対して、同じ行為をお金をもらってする自分、セックスを大切に保管し…

2022年2月の読書記録

全部じゃないけど、今年から読んでよかったものはなるべく感想あげていくことにした。制作日誌をつけているこけし日報に載せたものもある。 小松原織香『当事者は嘘をつく』 小松原さんはずっとブログを読んでいて、本が出ると知ってすぐに買った。性暴力被…

2022年1月の読書記録

全部じゃないけど、今年から読んでよかったものはなるべく感想あげていくことにした。制作日誌をつけているこけし日報に載せたものもある。アリ・スミス『冬』 ここ2年くらい、自分の状況がしんどくて、他人への想像力を持つ余裕がなかったけど、やっぱこう…

2021年の7冊

今年はあんまり新刊本を読めなかった。古い本も多いけど、今年読んで面白かった本(一部雑誌収録)のメモをはっておきます。※ブログで感想書いたのはのけました。・『ヒロインズ』ケイト・ザンブレノ(西山敦子訳) 3月くらいに読んだ。何書いたらいいかわか…

「書く仕事」がしたい? 『書く仕事がしたい』佐藤友美

読んで気づいたショック書く仕事がしたい">『書く仕事がしたい』には、いかに「書く」ことを「仕事」にし、続けていくかのエッセンスがぎゅっと詰まっている。 正直言うと私はこの本を読んで、自分はライターの仕事はできるけど、それが本当にしたいことでは…

ドヂな存在とは? 『みんな政治でバカになる』綿野恵太

『みんな政治でバカになる』を読んだ。 タイトルだけ見てみると、政治に興味関心持つやつなんてバカばっかりとシニカルな態度で批判するような本に見えるが、その逆である。むしろ、政治活動したり支持政党があるほど政治的主張がはっきりしてるわけでもない…

【お知らせ】企画や編集についてのご相談を有料化します

これまで書籍編集者として、出版社からお仕事をいただき、商業出版物の企画・編集業務をしてきましたが現在そちらは休業中です。自費出版物や自治体・企業様のパンフレット、広報物については引き続き受注していくつもりです。また、これまで無料でお手伝い…

タナクラバザー:イランで愛される日本のドラマ『おしん』の遺産(要約)

英語の勉強も兼ねて面白かった記事について紹介します。土曜日(6/5)にこの記事を読みました。「タナクラバザー:イランで愛される日本のドラマ『おしん』の遺産」 これを読むきっかけになったのはこの記事です。www.bbc.com英語版はこちら。 www.bbc.com …

扉としてのエヴァンゲリオン

ある作品がきっかけになって、それまで興味がなかった分野に急に興味が出て、新しい世界の扉がばって開くことがある。わたしにとってエヴァンゲリオンシリーズはそういう作品だ。 テレビ放映時はリアルタイムでは見ていなかった。わたしのうちにテレビ東京系…

女の成長とは何か

この間『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を見に行った。すごいわかりやすい男の成長物語だった。ゲンドウを乗り越えてシンジくんは立派な男になった。そして、ふと疑問に思った。 女の成長ってなんなんだろう。 ・・・ 父を殺して大人になるのは成熟を描…

書いてる限り作家でライター『三行で撃つ』近藤康太郎

読んだ理由去年仕事がずっと辛かった。わたしは10年ほどフリーでライターと編集者をしている。2018年に著書を出したあと、もっと自分の名前と作家性を出したような文章を書きたいと思うようになってきた。しかし、去年は引き受けていた編集の仕事の負担が大…

今年したいこと

・山登り 元日に六甲山に登ったらめちゃくちゃ楽しかった。須磨から宝塚まで六甲山縦走コースがあるので、踏破してみたい。 ・『平家物語』を読む六甲山に行ったときに平敦盛の墓と一の谷古戦場があった。 忘れていたが、神戸は清盛が福原京を作ったところだ…

2020年の10冊

昔の本や若いころ読んだことのある本をもう一回読むことが多い1年だった。去年は若いころ理解できなかった文章がわかるようになったり、若い頃よくわかんなかった文章が読めるようになっていたのがうれしかった。・松下竜一『暗闇の思想を』 1973年、大分の…

2020年の振り返り

毎年ぼんやり10個くらいその年の目標を立てているがあまり振り返りをしていないので、2020年は振り返ってみようと思う。 カナダの本を出したい→△2015~17年にカナダ年住んだ滞在記を出したい。ずっとサウダージ・ブックスのサイトで連載をしており、年明けの…

huluでハマった海外ドラマ

読書日記だけど番外編。2020年はうちにいる時間が多くて、動画配信サービスを利用する人が多かったと聞きます。巷ではネ○トフリックスの作品が話題のようですが、わたしはhulu派。あまり話題になりませんが、huluで見て面白かった作品を紹介します。・「ハン…

成熟とは何か 『ゲンロン戦記』東浩紀

東浩紀さんの『ゲンロン戦記』を読みました。 この本は、批評家で作家の東浩紀さんが2010年に立ち上げた「株式会社ゲンロン」についての歩みを振り返った本です。ノンフィクションライターの石戸論さんの聞き書きによるもので、日常の言葉遣いで書かれており…

名前のない関係 『スーベニア』しまおまほ

しまおまほさん『スーベニア』を読みました。 しまおまほさんというと、祖父母は島尾敏雄と島尾ミホ、両親は写真家の潮田登久子と島尾伸三というクリエイター一家。高校生の頃『女子高生ゴリ子』や『しまおまほのひとりオリーブ調査隊』とか大好きでした!だ…

普通を壊すための思考と実践の軌跡 『愛と家族を探して』佐々木ののか

佐々木ののかさんの『愛と家族を探して』を読みました。 この本は、佐々木さん自分の家族についてや恋愛についての体験を語りながら、それと呼応するように、さまざまな家族にインタビューを重ねるというもの。ノンフィクションとか、あるテーマにそって客観…

北海道に行ってお酒を飲みたくなる 『おやすみカラスまた来てね。』いくえみ綾

『おやすみカラスまた来てね。』を読みました。 ドラマになった『あなたのことはそれほど』や『G線上のあなたと私 』のいくえみ綾さんの漫画です。恋人にうちを追い出され行くあてがなくなった十川善十が偶然たどり着いたバー「一白玆(いっぱくげん)」。そ…