こけし日記

読むことと書くことについて

『仕事文脈』vol.10「Don't work too hard」に原稿を書きました

バンクーバーと仕事」を連載している雑誌『仕事文脈』の10号が出ます。

  


5/7に東京文学フリマで先行発売だそうです。
今回のテーマは「Don’t work too hard」で
「一生懸命働かないこと」がテーマだそうです。

なんとうれしいことに、この記事がきっかけだったそうです。

kokeshiwabuki.hatenablog.com


これをアップデートした文章を書きました。
よかったら読んでください。

 

帰国したので連載はこれで最終回になります。
『仕事文脈』はいつも読んでいて、いろんな人の仕事や仕事観を知れ、
自分の考えを新たに見直す機会になっていたので、
寄稿できてとてもうれしかったです。

機会があればまた何か書いてみたいです。

引っ越しで大変だったこと(バンクーバー引き上げ編)

2月の終わりにバンクーバーの家を引き払い、日本に帰ってきました。


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初めて海外から日本に引っ越すので、2月はストレスのあまりお腹が痛くなったり、不眠で悩まされた。


やることリストはこれくらいで、たいしたことないはずなんだけど、
やっぱり英語なのと日本と勝手が違うのがネックだった。
 
1、家具、荷物の処分
2、パッキング
3、公共料金の手続き
4、クレジットカードの解約、銀行口座の閉鎖
5、カナダの確定申告
6、お土産


わたしのうちは2年滞在と決まっていて、最初からバンクーバーで全部処分して、来た時と同じくスーツケース2つで帰ってくるつもりだった。
だから、どれを売ってどれを持って帰るかというような悩みは少なかった。船便で家具を送るという作業がなかったので楽な方だったと思う。
それでも大変だった。
国によってやることは変わるけど、これから海外から日本に引越す人にむけて
参考になればうれしい。

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スコーミッシュの滝

1、家具、荷物の処分

家具は日本人の駐在や留学で引っ越しサポートをしている助っ人Vanさんという人に、新しく駐在や留学で来る人にまとめて売ってもらった。
このサービスのいいところは、家の退去の1日前に荷物を引き取りに来てくれるので前日まで普通に生活できるところと、まとめて売れるところだ。
あと、売る相手が日本人なので日本語でやりとりできるのもいい。

細かい荷物は知り合いにあげたり、クレイグズリストやカナダの日本人向けサイトで売ったりした。
メルカリなどのアプリと一緒で値下げを要求する人もいる。
このときに変に渋ってしまうと、向こうがやる気をなくして連絡がとれなくなることもあった。いくつか交渉途中で終わってあげたり寄付したものもあった。
今思えば変に欲を出さないで言い値で売ったらよかった。

うちは繁華街から遠くて日本人の少ない地区だったので、日本人向けサイトよりクレイグズリストの方がよく売れたし値下げ率も低かった。
クレイグズリストは安全の問題もあるそうだが、英語のやりとりさえ慣れ、安全に気をつければクレイグズリストは便利だった。

結構おもしろかったのは、マンションの入り口に不要品ボックスがあって、
引っ越す人や子どもがいる人なんかがおもちゃや使わないものを置いていって、
住人が勝手に持っていく習慣。
私もそれを活用してハロウィン用に買ったカツラや、余った園芸用品を処分した。

売れないような小さい家電、壊れた家電は近所のコミュニティーセンターでゴミとして引き取ってくれた。
壊れたブレッドマシーンも簡単に処分できて楽だった。
また、教会がやっているような不要品を売るスリフトショップというところがあって、そこに持っていけばどんなものでも引き取ってくれると聞いた。

何回も書いているけどバンクーバーはゴミを出さない、リサイクル文化が徹底している。その気になればゴミを出さずに引っ越しできるのがすごいところだと思った。

2、パッキング

わたしが本の仕事をしているのと古本屋に行くのが趣味で、うちに本が多かった。
パッキングをしようという晩に、クローゼットから段ボール2箱分の本を出して来たときに夫が私に見せたうんざりした顔は、終世忘れることはできないであろう。
何かを得るためには何かを捨てねばならない。
犠牲にしたのは服と靴で、ほとんど人にあげたり売ったりした。

本は最終的にパッキングしきれずに、クロネコヤマトの詰め放題パックで別送した。
関税がかかる商品もあるので、何でも送れるわけではないが、中古品やおみやげなどはこれを使って別送するとかなり楽だった。
旅行者の人にもおすすめのサービスだ。

3、公共料金の手続き

全部オンラインで手続きできて、かなり楽だった。
もともとクレジットカードから引き落としをしていて、それを日本の銀行の口座に引き落とし先を変えておけば滞在ぎりぎりまで電気やネットが使える。
しかも日本の口座から自動的に引き落としてくれるので、日本から料金を振り込む手間がいらない。
携帯とかインターネットは機械を返すとかシムロックを外してもらうとか、店舗に出向かないとできないこともある。

4、クレジットカードの解約、銀行口座の閉鎖

これはちょっと時間がかかった。
銀行口座を残していく人もいるみたいだけど、口座維持費が毎月10ドルくらい取られるのと、マイナス口座になるとペナルティで7000円くらい取られたり、ブラックリストに載るというような話を聞いたので、閉じることにした。

最初にクレジットカードを解約して、そのあと引き落とし先になっている銀行口座を閉じるという流れ。
カナダの銀行は印鑑と通帳がなく、IDカード(パスポートがいるときもある)とサインでこと足りる。日本みたいに何か書類を書かされることもなく、カウンターでその場で手続きしてもらえる。

クレジットカードは解約するのに2、3週間くらい必要だったけど、銀行口座はすぐに閉じられた。
このときに、口座にお金が残っていて送金が必要な人は、送金手続きが必要になる。
シティバンクとか外貨で受け取れる口座を持っていたら、外貨のままでもいいと思うけど、日本円で受け取りたかったので、両替商のVBCE宛のバンクドラフトを作ってもらって、VBCEから日本の口座に送った。
日本の銀行で受け取るときはマイナンバーが必要だった。

5、カナダの確定申告

外国人でも居住者なら税金を払う必要がある。
カナダの確定申告の時期は毎年1月から2月で、その間に銀行や勤め先からT5とかT4といった書類が送られて来る。
これは日本でいう年末調整の書類みたいなやつだ。
その中から払い過ぎなら還付してもらい、払ってない場合は税金を納付する。
日本みたいに控除もあって、配偶者控除とか、バスのマンスリーパスとか、子どもの習い事なんかは控除対象になるみたい。
これも日本人向けにインカムタックスリターンお助け隊というサービスがある。
出国後に還付金が戻ってくる予定だったので、申告のほか、還付金を受け取って、日本の口座に日本円で振り込んでもくれるので、ありがたかった。

6、お土産

これは別に記事を書きたい。
片付けに必死で、日本に帰ってからやばい、買ってないということになりがち。
観光じゃないし、遊びで行ってるわけでもないので、気にしなくてもいいかもしれないけど、餞別をもらっていたり日本から何か送ってもらっていたりしたら、そういうわけにいかない場合もある。
お土産選びのコツはとにかく日本にないとか、珍しいもの。
かつ「軽い」「割れない」「腐らない」。
私はトレーダージョーやホールフーズといった現地スーパーのエコバックを買いまくっていた。

バンクーバーのトレーダージョー(正規店ではなく、トレーダージョーから品物を仕入れて売っている店のよう)
http://www.piratejoes.ca/

ホールフーズ
http://www.wholefoodsmarket.com/stores/robson

あとは、バンクーバーのレトルト食品とかエスニック食品といった日本で手に入りにくい食べ物とか、石けんや珍しい生活用品とかを買っていた。

パタゴニアとかメックといったアウトドア用品も日本より安く買えるし、
セールの時には日本じゃありえないくらいのプライスダウンになるのでおすすめ。
おみやげもの屋さんより、ローカルなスーパーやエコグッズのお店に行った方が喜ばれそうなものが多かった。
あとは変わった紙もの(ステッカー、ハガキ)があれば買っておくと、
送る時にバンクーバー感が出せて便利。

ちなみに、定番のメイプルシロップとメープルクッキーとスモークサーモンは、
日本の輸入食品店でも買えるので、無理に買わなくてもいいと思った。
どうしてもあげたい人には、日本に戻ってから名物を送るなどの方法もあるし、
気持ちの伝え方が大事でそんなにモノは重要じゃないなと思った。

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バンクーバーの夕暮れ

○まとめ

引っ越しは本当に体力を使い、精神的疲労も大変だった。
みんなにさよなら言わなければと人に会いすぎるとか、
家中の物を全部売ろうとするとか、根を詰めすぎるのはよくないと思った。
お別れ会的なものは名残惜しいけど、結構体力がいるので、断ることも大事と思った。

引きこもりだったくせに、最後の方になってあそこに行きたかった、
食べたかったというものがやたら出て来る。
けど、時間も体力もお金も限られている。

それでできなかったことが多かったと結構へこんでいたら、
ツアコンをしていた友達に「全部見たら次見るところがなくなる」と言われて、
それでだいぶ楽になった。

バンクーバーと今生の別れと思うからあれもこれもと詰め込みたくなる。
遠いけど、また行けばいいのだ。
今度は旅行者として、夏の光浴びながらビールを飲んだり、
冬のウツウツとした長雨を見ながらカフェでお茶したり、
中国語が飛び交う飲茶屋さんで飲茶をたらふく食べたりしたい。

バンクーバーに持って来なくてよかったもの

もうすぐ帰国なので、1-2年バンクーバーに住む人向けに、
持って来てよかったものをまとめてみました。

「これが必須」っていうのは、
個人差があると思いますので、あくまでも「私の」です。
中編で持ってくればよかったもの、
後編で持って来なくてよかったものをまとめます。

 

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バンクーバーに持って来なくてよかったもの

日本ぽいもの
浴衣、下駄、折り紙、日本のことを紹介する本等・・・。
人によると思うけど、わたしは浴衣や下駄は全く使う機会がなかった。
あと、日本人、アジア人が多くて、伝統的な「チャノユ」「キモノ」「オリガミ」みたいな「ジャパン」を知りたい人より、「いきものがかり」とか「ポケモン」とかに詳しい人や、ポップカルチャーを知りたい人の方が多かった。
それは住む場所、知り合う世代にもよるかもしれない。

フォーマルな服(スーツ、ドレスなど)
夫の仕事の都合で住むことになったので、最初は無職でほぼ知り合いがいない状態で引っ越したせいか、本当にびっくりするくらいまったく使う機会がなかった。


服の記事は前に一回書いたけど、持ってくるのは必要最小限でいいと思う。 

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なぜなら、環境が変われば着る服が変わるからです。
種類は少ないけど買えるし、季節ごととクリスマス前後にセールがあり、30%から70%くらい値下がるので、日本からの輸送費を考えたら必要最小限だけ持って来て、買い足した方が得ではないかと思います。
それから、アウトドアの服はアメリカ、カナダのメーカーはこちらの方が安いし、
種類も多いです。
サイズの問題はありますが、掲示板やフリマで日本人から買えます。
古着を安く買って来て、こちらで処分するという方法もアリでしょう。


来て3か月くらいは、日本語を読むのが苦痛で、読みませんでした。
それから、帰る時に処分が大変。
あと、種類は少ないけど図書館に日本の本は置いてあるし、
ガレージセールや古本セールなどもあります。
あと、今は電子書籍もあるので、無理に持ってくる必要はないと思いました。


便せん、手紙
「カナダからの手紙」という歌があり、憧れて私もカナダから手紙を書こうと張り切って持って来ましたが、全然書きませんでした。
こっちはカード文化なので、カードの出番の方が多いというのも理由です。
手紙、便せんを持ってくるくらいなら、ちょっと変わった日本の絵はがきを持ってくればよかったと思いました。

日本の食べ物
カップラーメン、調味料、お菓子、インスタント食品、納豆、明太子・・・高いものもあるけど、一通り買えます。
どうしても好きなものとかこだわりがあるもの(調味料、だし、和菓子、お茶、ふりかけ等)だけ持って来たらいいと思いました。

また思い出したら追加します。
これからバンクーバーに住む人に参考になればうれしいです。





バンクーバーに持って来たらよかったもの

もうすぐ帰国なので、1-2年バンクーバーに住む人向けに、
持って来たらよかったものをまとめてみました。

「これが必須」っていうのは、
個人差があると思いますので、あくまでも「私の」です。
前編で持ってくればよかったもの、
後編で持って来なくてよかったものをまとめます。

 

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バンクーバーに持って来たらよかったもの

日本語の実用書
例えば
文法書、ガイドブック、レシピ等。

文法書はどの前置詞を使うとか、仮定法とか、テストでは解けても、実際会話で使えない・・・。英語の文法書は手に入りやすいけど、ちょっと知識があいまいだったら読んでも逆にこんがらがったりするので、ちょっと危ういなと思う人は、持っていった方がいいと思います。
一般書でもいいけど、高校の日常学習と受験用の中間くらいのが使いやすいと思う。

  

 

ガイドブックは旅行に行きたくなったときに困る。ネットでも情報は出ているけど、やっぱりガイドブックが網羅的で信頼できるので。
電子書籍で買えるものもあるのでしょうが、ガイドブックは紙の方が使いやすい。
近隣の国に旅行予定のある人は、持って来た方が便利。

レシピも同じく。クックパッドあるけど、最近は有料会員にならないと見られないものも多いし、基本のおかずは料理書の方が使いやすい。
野菜の切り方、下ごしらえの仕方、基本的なおかずを作るために必要な調味料の比率、基本的なおかずの作り方を網羅的に載っているようなものが使いやすいと思う。

      



腹巻き、五本指靴下、ホッカイロ
冷え性の人は必須。どれも売っているのをあまり見かけません。
売っていても高いし。バンクーバーでは真冬に嘘みたいな薄着の人をよく見かけるので、必要ないんでしょうね。

ガムテープ、セロハンテープ
くっつきが悪かったり、べたべたしたりする。あと高い。
日本製が断然いいです。
くっつくものといえば、絆創膏も日本製の方がいろんな大きさがあって、
粘着力がよかったです。

健康管理に必要なもの
自分の健康管理に必要なものは、ちょっと大目に持ってきてもいいと思います。

例えば
風邪薬、のど飴、生理用品、目薬、正露丸、魚の目とり等・・・。
私は胃が弱いので、胃が痛くなるとのんでいた胃薬を日本から送ってもらいました。

こっちでも買えるけど、スーツケースの中に入るもの
例えば、体重計とか壁掛け時計とか。
こっちで買ってもいいですが、どうせ帰るときに処分するし、
処分するくらいだったらスーツケースの中に入れて持って来たらいいと思いました。
逆にこっちで買って捨てればいいと考えるかもしれないので、その辺は持っているものへの愛着度や使用年数などによるかもしれません。

また思い出したら追加します。

バンクーバーに持って来てよかったもの

もうすぐ帰国なので、1-2年バンクーバーに住む人向けに、
持って来てよかったものをまとめてみました。

「これが必須」っていうのは、
個人差があると思いますので、あくまでも「私の」です。
中編で持ってくればよかったもの、
後編で持って来なくてよかったものをまとめます。

 

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○持って来てよかったもの

バスタオル 
ふわふわのタオルは日本クオリティ。こちらで買ったタオルはごつくて使い心地があまりよくありませんでした。

文房具全般
気の利いた雑貨店で、かわいいと思った文房具はたいてい日本製でした。
日本の文房具はほんとに気がきいてるし、質がよくて便利。
特に勉強で来る方は、クリアファイル、ボールペン、蛍光ペン、ふせんなど使いそうなものは大目に持ってきといた方がいいと思います。
ちょっとしたプレゼントやカードを書くのに(こちらはカード文化!)、キラキラペンやマスキングテープのようなかわいいものもあるとなおよしです。


炊飯器
小さいサイズのを、無理矢理スーツケースに入れて持って来ました。
日本の炊飯器の方がおいしくたけるし、当日から米さえ買えばすぐに食べられるので、米ラブの方は持参するとよいかも。

ドライヤー
これも、当日からすぐに使えるので、髪の長い人はあると便利。
愛用品があると落ち着きます。

いらないときはどうでもいいけど、ないとイライラするもの
例えば
ハサミ、爪切り、体温計とか。

特に爪切りは切りたいときにすぐ切りたい。
体温計も調子悪いと思ったらすぐはかりたい。
ハサミも使いたい時に切りたい。

サイズがでかいもの
例えば
綿棒、マスク、歯ブラシとか。

サイズが全体的にでかいので、日本サイズのものがぴったりです。

水着
日本ではほとんど使わなかったのに、意外と出番があった。
あると、海、プール、スパ、サウナなどに行きたいときにすぐ行ける。
銭湯好きなので、プールに併設のサウナやジャグジーにつかりに行くのに便利でした。

サングラス、折り畳み傘、レインブーツ
季節物。
サングラスは、2月でも晴れの日はまぶしいし、
夏は日差しが強いのでどの季節でも必須。
冬は雨が多いので、防水必須。日本の折り畳み傘は丈夫でコンパクト、しかも安い。
防寒も兼ねて、レインブーツも必須。

また思い出したら、追加します。

 

英語学習を続けるコツ

バンクーバー滞在もあと1か月ほど。
最近は引っ越しの準備のために不要品を売ったり、部屋を片付ける毎日。
英語を使う生活もあとわずかですが、日本に帰ったら使う機会も勉強する気も減るだろうと、今更ながら英語を勉強する気持ちが戻ってきた。

カナダに来てからいろんな勉強法を試してみたけど、私は今のところオンライン英会話が一番続いている。
そこで、どんな理由があれば英語学習が続くか考えてみた。

1、カナダに来て試した勉強法と挫折した理由

カナダに来てから結構いろんな勉強法を試してみた。

・コミュニティセンターの英語クラス 
・英語学校 
・ミートアップなどの英会話クラブ 
NHK英会話を毎日聞く
バンクーバー図書館に置いてあるESLテキストで独学
・ラジオ、テレビ、映画などを見たり聞いたり

もともと夫の都合で来たこともあって、英語学習に家計に響くほどの費用は出せなかった。だからなるべく独学でやろうと思って、オンラインでNHKの英会話を毎日聞いたり、コミュニティセンターのクラスに行っていた。
けど、知っていることばかりで飽きてしまったり、逆に会話についていけなくて凹むことが多かった。短期で学校に通ってみたけど、長期で続けるほどの費用や時間はなかった。
じゃあと、図書館で無料の教材を借りて自分でやろうとしても、仕事を始めたら休みの日や仕事の後は疲れていて、テキストを開く気にならなかった。

毎日継続できなくて、自分から英語を勉強しに来ている人に比べて切実さが足りないなーと自己嫌悪になったりしていた。


2、続かなかった一番の原因

思い返すと、続かなかったいちばんの大きな原因は


飽きやすい

ことだ。
もちろん、会話以外の文法や英語の文を読んだり書いたりするのも勉強のうちなんだけど、そのことに飽きてしまった。
理由は簡単で、語学は何かをするためのツールなので、レスポンスが帰って来ないとつまらなく感じるし、通じるか通じないのかわからないものを1人でこつこつやるのが辛く感じるようになってしまった。
やらなきゃなー、でも続けられないの無限ループにはまりかけていたとき、たまたま夫がオンライン英会話を始めた。
夫が継続できているのに興味をもって、わたしも始めることにした。

3、オンライン英会話が続いている理由

最初はどうせまたすぐに飽きると思いながら、期待せずに始めた。
それが意外なことに、なんとか今のところ3か月続いている。

わたしがやっているオンライン英会話は、毎月25分の授業を定額で受けられるコースで、毎日やってもやらなくても値段は変わらない。
なるべく多く授業を取った方が得なので、さぼる気が減る。
値段は高いか安いかは人によると思うけど、カナダの物価や学校に通う時間と比べたら安いと思う。
私は特に学校に行って習いたいことがあるわけでもないし、ものすごく英語が好きでもない。けど、海外に住んでいて英語が必要という状態だった。
そういう自分にとっては払える値段だった。


授業は毎日自分でオンラインで予約して、その際に教材も先生も自由に選べる。
また、授業時間が短いので、いくら気分が乗らなくても25分ならすぐに終わるし、キャンセルもできるけど、一旦予約すれば相手がいると思うと、さぼるということがしにくくなる。
それに、何人かお気に入りの先生を見つけると、その先生と話すことが楽しみになるし、顔を合わせていると通じたか通じてないのかすぐにわかる。
さらには毎回評価が出るので、自分がどれくらいできたかや伸びたかがわかる。
なにより、2、3日やらないとすぐにしゃべれなくなっているのがわかるので、やらなきゃと自然に思えるようになった。

4、どうやったら習慣づけられるか

今は、オンライン英会話の授業とその前後に予習復習を組み込んで、それに加えて文法とか読解とかの勉強もやるようにしたら、なんとなく毎日英語の勉強を習慣づけられるようになった。

英語やりたいなー、やらなきゃ、でも続かない、という悩みを持っている人は、あれもこれもと手を出すよりも、まず短い時間でもいいので毎日続けられるものを核にしたらいいんじゃないかと思う。
わたしはお金を払ったとか、予約を入れたら守らないといけない、というような外的な要因がないと難しいタイプだった。
けど、そうじゃない人は英字新聞を読むとか、英語の曲を聞くとか、英語アプリを毎日何分やるとかでもいいと思う。

具体的には、

1、自分の状況や性格に合った日課を1つ決める
2、それをやる時間を一日のスケジュールに入れる(夕食後とか、出勤前とか)
4、どれくらいの時間やるか決める(短くてもいい)
5、その前後にそれと関連したほかの勉強も組み込む
6、それを習慣づける


特に4は大事で、短くてもいいから毎日できる量にした方がいい。
毎日のノルマが少ない方が継続しやすいし、できなかったときの挫折感も少なくなる。
5については、毎日できた方がいいけど、無理なときは、日課だけにする。
柔軟さをもたせることが、毎日続けられるようコツだ。

日課がだんだん続くようになると、毎日やらないのが気持ち悪くなってくる。
それに、やらないとできなくなるのが自分でもわかってくる。
そうなったらもう英語学習が習慣化している。
習慣づけるためには3か月くらいかかると思う。
でも、一旦生活の一部になると、やるのが当たり前になって、嫌だなーとかめんどうという気持ちは減ってくる。

環境が変わったときが一番継続できなくなりやすい。
これから日本に帰ったときに、またさぼらないように、この習慣を忘れないようにしたい。




家族2.0

カナダにいると、家族とか男女交際についての考えが違っていて、
ここ数年日本でわたしが悩んでいたことが全部吹き飛んで、なんだかばからしくなる。


例えば離婚。
わたしは初婚の際、2年で離婚したので自分が配偶者を選ぶ目がなかったことを後悔したり、離婚したことで人生を失敗したと思っていた。
けど、カナダだと離婚率は50%らしい。
そしたら、結婚した半分は離婚していたら離婚は当たり前のことで、
たまたま相性がよくなかったみたいな感じになるし、離婚したから人間的にダメとか相手を見る目がないのは自分が未熟だからってことにならない。
しかも、再婚、再々婚するとともにその率は上がるそうだ。
なんでこんなに違うのか考えてみると、日本だと子どもは親(あるいは家)に属するという考えが強いとか、離婚=家族がバラバラになるというイメージがあるから、子どもがいる夫婦は離婚をさける人が多い感じがする。
でも、カナダだと両親が週の半分ずつめんどうをみるといった方法があったり、もともと個人という考えが強くて、周囲も離婚している人が多いから、そこまで一旦形成した家族をバラバラにするのはよくないという圧が少なそうに見える
(これがまた離婚禁止の国にいったら考えが変わるんだろう)。

婚姻制度についてもそう。
日本にいたときに周囲に何人か婚姻制度に否定的な人がいた。日本にいたときは婚姻制度にそこまで否定的でなかったし、その批判についても正直ピンとこなかった。
でも、最近、法律っていろいろ婚姻に対する要件をつけていて、人はそれにもとづいて行動したり、離婚を考えることってあるんだなということに気づいた。
例えば夫婦は性交渉をするものだとか、同居するものだとか。
だからセックスレスは離婚要因になるし、別居を何ヶ月かしたら調停で有利になるとかがある。
結局、それって法律によって行動を制限されていることじゃないか? とか、国によって規定が違うのでは? と疑問を感じるようになった。
家族の形なんて自分たちで話し合って決めればいいのに、それに対して国が規定しているっていうのは変な感じがするし、それにもとづいて家族の普通を決めるのも変じゃないかと思い始めた。

カナダだと、事実婚もできて、子どもが婚外子差別を受けることも少ない。
法律婚をする理由は、インターナショナルなこと(国際結婚とか、海外に住むとか)がからむ場合が多いそうだ。
国によって事実婚の定義が違って、ビザを取ったりするときに、事実婚関係にあることを証明しにくいから。
ほかにも病気で入院したときに家族以外は会えないというような問題もあって、法律婚を選ぶ人もいる。

 

それから、性とか男女交際の概念も結構違ってびっくりした。
カナダのデートは日本で言うデートとちょっと違っていて、デートは性交渉込みの場合もあって、デートする=セックス=付き合う(彼氏/彼女の関係になる)というふうに、全部イコールでつながらないらしい。
日本だと何回かデート→告白→彼氏/彼女になる→セックスみたいな流れが一般的だけど、カナダはまずデートして相性を見極めて、それから付き合うって流れになるらしい。だから複数人と同時にデートする場合もあるし、デートを何回か重ねてもそれがすぐ男女交際につながるわけではないそうだ。
ただやっぱり日本みたいに「わたしたち付き合ってるの?」とか片方はデートの相手として考えてなくて、片方は恋人だと思ってるというようなギャップは生じるみたい。

わたしは今まで、例えば男性と交際したときに、行動とか服装にあれこれ口を出してくる人に対して、「彼氏だから言うんだよ」とか「君が魅力的になるように」とか「恋人ってこういうもんだろ」みたいな感じで「付き合う」という形から入ってくる人にうまく言い返せなくて、「そうかなあ? でも、自分が常識や男女交際の経験が少ないからわからないんだろう。経験とか常識のある相手が言うから、わたしが違うって思っても、世間ではそうなんだろうなあ」と思考停止になる部分があった。
それから、性に対して「たくさん男の人にいろいろしてもらってから許すものだ」とか「たくさんの人と経験がある方が人間的に魅力がある」とかいろんなファンタジーがある。それに対して、いつも「わたしは経験が少ないからよくわからないけど、みんな言ってるからそうなのかなあ」と、自分の感覚よりも人の言うことに流されていた部分があった。
でも、こういう考え方があるんだというのを知ったことで、国によってこんなに常識とか当たり前が変わるんだと思うと、結構楽になった。

あと、今までは男女交際とか性的な経験の多寡と、適切なパートナーシップを作ることには相関関係があると思っていたから、経験者の言うことを聞いた方がいいと思っていたけど、そうでもないんだなと思った。自分が嫌だったら嫌と言って、それに対してあまりにも「常識」とか「当たり前」を押し付けて思考停止している人とは距離を取るのが正解だなと思った。


それから、いちばん驚いたのは、オープンリレーションシップという考え方。
恋人関係にある人が他の人とも関係を持つのを相互に了解していたり、複数人の人と恋人とかセックスの相手をもつようなことがあるそうだ。それは相手も了解済みなので、そこで浮気とか不倫とか○股みたいにもめたりすることはないらしい。
最近の浮気だ不倫だで人をたたく風潮には違和感を持っていた。
逆に昔の日本の「浮気のひとつは男の甲斐性だから、女はそれを笑って許すべし」みたいな考え方にも疑問があった。
また、人生の中で性的関係とか恋愛を重視するフリーセックスみたいな考え方も、それを重視してない人とか一対一の関係を重視する人に「今までの男女関係の当たり前に縛られている」みたいな感じで批判するようなニュアンスを感じることがあって、疑問があった。
オープンリレーションシップは、それをしたい人同士同意の上という関係の持ち方で、誰にも性的関係がいちばんと求めないところと、男女関係の捉え方にすごく幅を持てるところがいいと思った。

最近いつも思うことは、家族の形にも恋人の形にも正解はないということだ。
わたしは個人の立場で生まれて生きるということを忘れそうになる。
すぐに○○家の〜、女の〜、妻の〜、子なしの〜、アラサーの〜といろんな集団に飲み込まれそうになり、そしてその集団の考えを簡単に受け入れそうになる。
でも、去年石原吉郎の『
望郷と海 (ちくま学芸文庫)』を読んだときに、人は条件とか形式的な結びつきから孤独に立ち返って真剣に考えることで人と深い連帯ができる、ぎりぎりまで個人の立場で立つことから、連帯は始まるというような話を読んで、頭を殴られたような衝撃を受けた。
すでにある形に自分(たち)を当てはめるんじゃなくて、自分の孤独、感覚から自分を組み立てて、そして独立した個人としてお互いに話し合うことで、自分たちの形を作ることが大事なんだと思った。

 

  

今の時代は家族にいろんな機能をくっつけすぎていると思う。
それこそ、ゆりかごから墓場まで
一緒に住む/セックスをする/子どもを作る/子どもを育てる/介護をする、
みたいな感じで、一生一緒の家族で添い遂げるのが理想の形になっている。
でも、本当にそうだったんだろうか。
恋愛で結びついた男女が、一緒に住んで、一夫一婦の夫婦で実子を成人するまで育てるなんて、近代の限られた時代にしか成立していないことだろう。
前に菅原和孝さんの『ブッシュマンとして生きる―原野で考えることばと身体 (中公新書)』というアフリカ調査の本を読んで、アフリカには夫婦お互いに恋人がいるのが普通の部族がいるというのを読んだことがあった。

 

 



それに、たまに読むブログの書き手*1や周りの人が、最近、恋愛以外で形成する家族、とか、婚姻関係なしに子どもを産む、ということを言っていたり実際にそうすることに挑戦しているのを見たり、あるいは自分のうちはどうだろうかみたいなことを考えたりして、家族は愛によって結ばれるという考え方にも少し窮屈さを感じるようになった。

 

もともと恋愛感情を持たないという人や、同性を恋愛対象に持つ人だって家族を作りたいという欲望があるから、恋愛を経ずに家族が作れないのは困ることだ。
かと言って一昔前のお見合いで適当な年ごろの男女を適齢期だからという理由だけでめあわせて、男はこう/女はこうという鋳型に当てはめて、無理矢理家族を継続させるのも変だと思う(もっと言うと、何年か前に婚活が話題になり始めた頃、ある思想家の人が結婚ていうのは年頃の男女は相手を選ばなければできるようになっている制度だから、選り好みしないでも結婚できるみたいなことを言っていて、それもちょっと暴論じゃないかと思った)。

逆に、西洋の、いつまでも夫婦が男女の関係でいて、キス、ハグ、セックスが当たり前という考え方にもいびつさがあると思うようになった。恋愛で結びついた(はずの)夫婦に性交渉がなくなることは愛がなくなることを意味しているっていうのは狭い考えじゃないだろうか。そんな考えがあるから、性交渉がない=魅力がなくなったとか他の異性に心を奪われたとかになるし、愛があるのになんでないのとか、相手をなじることが始まる。
結局、時代と場所に限定された狭い世界の中で、自分で理想の鋳型を探しては、それに自分をあてはめて、自分で家族の形をせばめている。
そういうときに、いろんな国の、いろんな時代の家族の形を知ることは、これからの家族の形を作る上でヒントになる。


わたし(たち)が作るのは、家族2.0。
どういう形になるかはよくわからない。

共同経営者、生活協同体のような集団で、
お互いメリットがあって、相手を尊重して生活する。
愛は義務じゃない、
子どもは、生まれたらラッキーで、
生まれるのは絶対じゃない、
血のつながりも絶対じゃない、
そして、互いの了承があれば解散もある(かもしれない)ような集まり。
そんな集まりは可能だろうか。

どんな形になるのかわからない。
でも、鋳型だけを見て、いろんなことを相手に勝手に期待したり諦めたり、絶望したりしないようにしたい。
家族の概念は自分で更新する。
そしていろんなことを試してみる。
伝統、宗教、国、経験者? 
それで今までそれでやってきたなら、正しい部分もあるかもしれない。
けど、わたし(たち)だって口を出したい。
これからの家族の形を作るのは、今とこれからを生きる自分たちだから。

2017年12月11日追記
こちらの記事は、2018年1月刊行の『愛と家事』に収録予定です。
こちらもどうぞよろしくお願いします。

kokeshiwabuki.hatenablog.com

*1:note.muの佐々木ののかさんとかc71の一日C71さんとか、あと植本一子さんの文章とか